銀英伝ジェンダーロール論争、ありましたねえそういえば

こんな記事を見つけたので

また、当時は法政大学の社会学部に勤務していたこともあり、そうみなされるであろうことは明らかでした(ただし、同社会学部には経済学者、法学者、地質学者など、さまざまな分野の研究者が所属しています)。このような立場の人間が、アニメについてジェンダーと絡めて言及するのがリスクの高い行為であることもわかっていました。それが「…なんてことを書いたら炎上するかな」というフレーズの趣旨です。傍からみれば、「社会学者が今度は銀英伝にいちゃもんをつけてきた」という構図だったはずです。

翌日、目を覚ましてツイッターをみると、事態はさらに悪化していました。なかでもインパクトが大きかったと考えられるのが、12日早朝に50万人以上のフォロワーを抱える人気漫画家が行った「ていうか架空の数百年後を描いた異惑星の社会風俗が現代にそぐわないから変えろって言いだす社会学者やべえよ」というツイートです。

へえ、津田正太郎さんそんな目にあってたのかあ・・と

件の漫画家というのは平野耕太さんですね。理由はわかりませんが私はブロックされていました。

2020年か。ちょうど小宮友根あたりからのアニメへの攻撃があってツイフェミとアニオタの間で泥仕合になってた時期ですよね。この後に北村紗衣と呉座勇一の訴訟騒ぎ、更にその後でcolaboと仁藤夢乃が暇空茜と大戦争になって、さすがにもう皆さんついていけなくなって下火になったんかな。

ちなみに津田氏が書いたのは以下の内容。

銀河英雄伝説のリメイク。三期以降も続くのかな。もしそうなら、男女役割分業の描き方は変更せざるをえない気がする。旧アニメのままだと、さすがに時代にそぐわない。作品として大変に面白いのは踏まえたうえで。…なんてことを書いたら炎上するかな。実際のところ、昔のドラマやアニメをみていると、価値観の変化がもっとも顕著なのがジェンダーの描き方だという感はある。そういう変化を踏まえたうえで作品を楽しめばよいわけで、ジェンダー関係の指摘は作品を全否定することだというのは違うと思うんだけどな。

このときに自分がツイッターで書いた内容を以下に転載しておきます。何か書いたよなあと思ったので発掘した。

以下ツイッターから転載

銀英伝のリメイクアニメで今風のジェンダー感覚にアプデするとしたら、いっそのことロイエンタールを女性にするとか、帝国軍幹部にセクマイがいっぱいいるとか。ゴールデンバウム朝ってめちゃくちゃセクマイに厳しそうな政治体制だし、恨み募ってる人、多そう。同性婚なんてありえん感じ。あと、作中での理想の女性像が「良妻賢母」タイプで、フレデリカがそれを意識しているというのは、はて、彼女くらい頭が良い人で、しかも自由惑星同盟って凄い人権重視で始まった国という設定だから、そこまで良妻賢母タイプを理想化するような文化にはなってないはずという指摘は出来ます。

書かれたのが1980年代で、まだ日本では上野千鶴子が暴れ始めたくらいの時期ですから、それはしょうがないんですけどね。田中芳樹は世代的には1970年前後の英米SFとファンタジーにおける第2波フェミニズムの波は経験しているはずですが、さほど影響は受けなかった印象はあります。私もそんなに国産ものを読んでいるわけではないですが、田中芳樹の中国もののフォロワーとして出てきた何人かの女性作家たちも、英米の同時期の女性作家たちほど明確なフェミニズムの影響は感じられなかった(個人の感想です)。

ル=グウィンが「ゲド戦記の前半3部作ですらジェンダーロールの設定は古いと批判された」と回顧していたので、たぶん1970年代の英米の文学界ではフェミニズム批評はものすごく一般的だったんじゃないかと思います。銀英伝のテクストはそういう読み方をすると、また色々見えてくるかも。

私自身、80年代に銀英伝の新刊を心待ちにしていたリアタイ世代で、あの影響を受けていないわけが無いのですが、たぶん令和のティーンエージャーがあれを読んだら、違和感というのは感じると思います。アニメやコミックなどの翻案作品でその辺をアプデしていくというのは、一つの解決策でしょう。

あと、銀英伝をまるで神聖不可侵の宗教の聖典のように扱って、批評も分析も何人たりとも許さないみたいな方々の年齢や性別の信頼できる統計があれば、500円くらい払ってでも見てみたい気持ちはあります。銀英伝って「そういう思考はイケナイよ」というのを地球教のエピソードで書いてましたよね?

今更の感想

私の方が津田さんより過激なことを書いている気がするんですが。ロイエンタールの女体化とか。でも炎上出来なかった。私は昔からそうなんです。不燃物。

どこに炎上ポイントがあったんかな。彼が社会学部の専任教員だったことは大きいでしょうね。あとは何だろう。

彼は「変更せざるをえない」「時代にそぐわない」って書いちゃったのが一線越えてたかもな。

ヤマト2199も山本玲やメルダ・ディッツみたいな女性パイロットを足したりしてるけど、基本はオリジナルに近いジェンダーロールだったし、銀英伝も多少の微調整入れる程度で軟着陸は出来ると思うんで(実はオリジナルもリメイクも未見)、そこまで断定的に書かなくてもなあってのは、私も感じますね。だからこそ水星の魔女は画期的だったわけですが。

あとはそうだなあ。彼、もしかしたらオタクなのかもしれないけど、そういう要素を表に出していないから外敵に見られたのかも。私はよほどのあわてんぼうさん以外には、昔から継続して小宮友根や上野千鶴子や明日少女隊などの過激なアンチオタクコンテンツ派を批判してきた人間だってことはわかりますからね。

でも、一番良いのはツイッターなんか使わないことですよ。これに限る。

関係ないけど津田正太郎さん(慶応の先生になった)、国立大学費は値上げすべきという慶応のキャンペーンに参加されてるみたいですね。僕はまず慶応が私学助成金全額返上でお金持ちから年1500万円くらいの学費を取る大学になるとこからやって欲しいなと思います。