現代は日本史上、最も文芸が活性化している時代だと思います。
その原動力となっているのがウェブ小説投稿サイトです。誰にも読みきれないような膨大な数の小説が日々投稿されている。
たまにランダムでそうしたものを読んでいるのですが、色々な意味で勉強になります。
すごい! というものはまだ見かけません。
色々と不満はあるけどアイデアが秀逸というのはあった。「JKハルは異世界で娼婦になった」。これはフェミニズムファンタジーの系譜の中できちんと評価されるべき作品。名門・早川書房から単行本で出たという事実が、その価値を示しているでしょう。
それ以外はこんな感じです。
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【何冊かラノベを書籍化しているような人】
文章は手慣れている。少なくとも読みづらくて閉じるレベルではない。プロットはテンプレだし文体もテンプレ。言い換えると既存の有名プロ作家の下位互換みたいな人たちです。ツルツルっといくらでも読もうと思えば読めるけど、読み終わって何か残るものではない。ほとんど全てが既存のもの。
数ページ読んで、なるほど手慣れてるなと思って終わりです。
【マニア度が振り切れているひと】
ミリタリーマニアなんかで、武器や兵器や軍人のディテールの書き込みが異常に細かい作品があります。ディテールは楽しめます。文体はテンプレでプロットはディテールを活かすためにあるようなものですが、これはこれで大いにアリ。
【全てがテンプレかつ文章が下手な人】
大半はここに含まれます。数秒で閉じます。
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自分が編集者だったとしたらどれをピックアップするか。
迷わず2番めのグループです。確実に普通じゃない部分があるからです。異形の部分。ここが狂気、という部分。
プロットや文体は書いてれば上達しますが、狂気は教えられませんし上達しませんものね。
手先の技術だけでテンプレの流用で書いている。それが書き手にとって最高に楽しいならもちろんアリです。小説はそもそも商品ではなく、それ自体が書き手の人生の一部ですから。
でも、広く世に知ってもらいたいものを作るとなると、個人的には、何かおかしなところが突出している書き手に惹かれます。
テンプレのベタな変形流用作品もニーズは大きいと思いますよ。むしろ、異形要素は読みづらくなる原因でもあるから。
ただ、個人的にはそういうものは、残りの人生の時間を使う対象ではないと思っていて、読むことも書くこともしたくないな。そう思うに至りました。