カナダからの怒り

高校生を名乗るアカウントが妙なことを書いてバズっている。要点は以下の通り。

1) カナダ出身のALT(Assistant Language Teacher:日本の小中高の英語の授業にアルバイトで顔を出す外国人のこと)の容姿について「かわいい」と発言したら、そのALTが怒ってしまったという。

2) このALTの主張は、カナダでは容姿を褒めることもけなすことも同様に差別だとされているというもの(伝聞)

3) よって日本ではよく見られる、容姿を褒める言動は、実は差別。

4) これは、日本の常識は世界の常識ではないことの証拠である。

高校生が気軽にツイッターに書いただけのことなので、根本的に真に受けるようなものでは無いということは大前提であるが、こういうものがバズるのはどうかと思う。

1) について。異なる文化圏の他者の行動が、自分の価値観に照らして問題があったからといって怒ってしまうような人材をALTで雇うべきだろうか? 

2) について、たった1人のカナダ人の主張を根拠に、カナダでは~という極めて大きな主語の命題の真偽を判断するのは、論理学的に明確な誤謬である。

3) について、差別とは本人には変えようのない属性によって、不利な取り扱いをすることである。今日、容姿については極めて多くの、本人の意思によって変更可能な変数がある(整形、化粧、髪型、髪色、視度矯正具、服装のコーディネート、体脂肪率や筋肉量のトレーニングによる変更など)上に、褒め言葉を口にするという行為は不利な取り扱いとは到底言えない。よって、様々なものを拡大解釈した主張といえる。

4) について、上記で検討したように、真偽も怪しいし論理的にも間違っているものは、日本の常識を評価する論拠とはし難い。

実際にはどうすれば良いのか。

ここからは私見。

・容姿を褒めたら怒る人に出会ったら、無理に付き合う必要は無い。友人としても取引先としても。

・容姿を褒められると怒る人は、ALTに採用するべきではない。最低限、自分の価値観をわかりやすく児童生徒に伝えられるコミュニケーション力がある人物を雇うべきである。

最後にALT全般について。

息子の小学校では毎月とか2ヶ月に1度くらいの頻度でALTが来なくなって別のALTを雇っていたと聞いている。英語を話す外国人というだけで安易に、教壇に立つ覚悟も能力も無い人間を雇う必要は無いのではないか。そんな人件費があったら司書や教免を持つ非正規の教員の給料を上げた方が良いと考える。