いい年したおじさんおばさんたちと日本のファンタジーと

インタビュアーが下手だと話題になった「この世界の片隅に」の片淵監督のインタビューなんですが、私なりに要点をまとめると

・日本のアニメは大人向きというよりは、アラサーやアラフォーにもなってなお、高校生の主人公に感情移入出来てしまうような人たちをメイン顧客として作られている、特殊なコンテンツ群である

・だから、外国で「大人向け」のアニメ作品が本気で作られるようになった昨今では、日本のアニメはひとくくりにして「ああ、またいつものやつですね」と思われるようになっている

「我々の世代に向けて語ってくれるメディアってない」と、ティーンエージャーや20代前半の人が思うわけです。ところが、いわゆる思春期ですね。いま後期思春期って40代まで含まれるんです。世界的に! そこまでの人が「これは自分のことだ」と思い、日本のアニメの主人公がみんな高校生なのに、あれを自分のことだと思い込んじゃうんです。

(中略)

つまり世界のアニメーションは子供や、いわゆる思春期に向けてじゃなくて、直接大人に向けて語り始めているわけですよ。少なくとも国際映画祭に関して言うと、日本のアニメーションは、そういうものと戦ったときに勝てないんです。

気のせいですかね、エンタメ小説でも似たような状況があると思うんですよ、私。

特にファンタジーね。

Mistreated (しいたげられている)or Underestimated (軽んじられている)の主人公がなんかのきっかけで俺TSUEEEEEEで無双して、みたいなパターンでのカタルシスしか描いてないような。

ヤングアダルトやジュブナイルならわからんでもないけど、いい年したおじさんおばさんたちが、そういうものしか受け付けないってのは、どないやねん、と。いい加減、大人になったらどうなんよ、あんたたち。

で、私の書くものはどれもこれも、成人の通過儀礼をとっくに済ませた20代(女性はハイティーンもいる)が、MistreatedでもUnderestimatedでもない自分は一人の大人として、この場所で何が出来るんだろうということを考えるお話になっている。

それで、全方位から「面白いけど地味」「こんなものは日本では売れない」「売りたいなら外国で」と言われる結果に繋がっていると思われるのです。