美術手帖「先住民の現代アート」

先住民系アーティストのカタログみたいな部分は正直しょーもなかったけど、先住民のアーティストやキュレーターのインタビューや彼・彼女らが直接書いた文章は示唆に富んでいた

まあ冒頭で編者も書いているように、こういうフォーマットで主流派民族の知識人が先住民文化を取り上げるのは無理があるんだよね。主流派民族の研究者が書いてた説教くさい解説群は「おまいう」感しか感じなかった。

書き方として

「私たち(主流派)はこれまでの植民地主義を反省して~~しなければならない」

は実務的にも論理的にもB級なんだよね

実務で言えば本来来るべきなのはまず「マイノリティ当事者の話をじっくり聞く」で、この工程を充分に踏まえて相互理解・信頼関係構築をした上で「さて、どうしていきましょうか」をじっくり一緒に考えるのがその次。常に話を聞く。一歩一歩合意形成する。先住民の文化復興運動がゆっくりしか進まないのは、それが多くの場合は本来あるべきペースだからなんよ。

論理的に言えば、本を読んでいっぱい勉強した知識人が「~~しなければならない」と上から説教垂れるのはただのパターナリズム。実戦では通用しないどころか無駄にバックラッシュも発生させる、言ってみればド素人のやり方。

山本浩貴は善人なんだろうけどその辺の視野が90年代のカルスタ知識人レベルで古臭い。これに限らず。