近所の総合スーパーの2階、雑貨・家電売り場が閉鎖されてそろそろ2ヶ月。会社のウェブサイトには売り場閉鎖とある。
店内には改装中という張り紙があるが、何かをしている気配は無い。
あそこは息子が1歳の時から三日と開けず通い続けた場所で、玩具も雑貨もどれだけあそこで息子と二人で選んで買ったかわからない。間違いなく、息子が買い物の楽しさを学んだ場だった。レジのおばちゃんとも息子は仲良しだった。
品揃えに特徴は無かったが、スポーツ用品から文具、ペット用品、食器や調理器具、工具と何でも買える場所で、自分の人生を振り返ってみても、あれほどの癒やしの空間はなかなか無かった。
増加を続ける稲城市の人口を狙って市内各地に競合店がオープンし、運営会社もさらなる出店攻勢をかけているので(稲城市内で言えば三和が7割から8割、ヤオコーが1割、いなげやとフジとコープで残り1割くらいか)、たぶんほとんど利益を出せていなかったあの売り場は閉めようということになったのだろう。
稲城に引っ越してきた1999年にはテナントとして本とCDやDVDを売る「パルス2」もあった。店の前にはガチャもあって、息子が幼稚園の頃、仮面ライダーフォーゼのアストロスイッチのガチャをやりがたったものだ。当時はアストロスイッチというのが何かよく知らなかったが。しかし絵本や「てれびくん」をよくあそこで買ってやった。しかし2014年に閉店。ペットショップも一時期テナントとして入っていたが、そこも閉店。
かつてはテレビや白物家電などもかなり置かれていて、それなりに売れていた。もっと遡ると携帯電話売り場やカー用品売り場もあった。 だが家電は若葉台に家電量販が3軒も出店してしまい、値段は変わらなくとも品揃えで負けた。 携帯電話もカー用品もかつてのような勢いは無く、消えた。 玩具も沢山あったが、若葉台にヤマダ電気が出来、調布と聖蹟桜ヶ丘にはビックカメラで、厳しくなっただろう。 ホームセンターとしてもまあまあ使いでがあったが、若葉台にユニディがあるだけならまだしも矢野口にくろがねやで、近々南多摩にはジョイフル本田まで出来るらしい。これでは市内からの集客も難しい。 言わば稲城市の大発展によって、多摩ニュータウン第一街区の中核として生まれた三和稲城店のビジネスモデルが回らなくなったのだ。 稲城市民としては稲城の発展は嬉しい部分もあるが、向陽台住民としては寂しい限りである。20年通った売り場なのだ。
広大な売り場スペースをそのまま閉めておくのももったいないので、テナント誘致かなにかを考えていると思いたい。
稲城市内にはまだ店舗がないユニクロやMUJI、あとはアウトドアショップとブックオフあたりが入ってくると面白い気がするが、個人的にはあの、のんびりとした空気が漂う癒やしの売り場のままであってほしかった。あれこそ稀有な空間だった。
息子との思い出を数多く作ってくれた、いや、息子と自分の生活の場、ほとんど公園みたいな空間でさえあった三和稲城店の2階雑貨売り場に心からの惜別と感謝を送りたい。ありがとう、さよなら。