話を進めるキューを「やるなと言われたことをやる奴がいる」「絶妙のタイミングで不必要なミスをする奴がいる」の二つに頼る書き方

「エイリアンVSプレデター」という映画を流し見しながら台風の到着を待っておりました。

「ジュラシック・パーク」シリーズを流し見したときのことを思い出しました。

アメリカ製のパニック映画あるある

・全ての元凶になるのは「権力を持った白人のおっさん」
・ストーリー中でもだいたい「やるな」と言われていることをやって話を進めるのは「おっさん」
・「指示に従え」と予め注意されて反抗的な顔をした奴はだいたい、その後に指示に従わずに話を進める役を担う(仕事を終えたらさっさと死んで退場)
・「うっかりミス」で話を進めるやつの方が生存確率は高い(「LoR:旅の仲間」のピピン@モレア鉱山)
・最後まで生き残るのはアウトサイダーかマイノリティか女子供

おっさんとサバイバーの関係は、現実世界の倒立像としてわりと簡単に理解出来ます。

日本人だったら陰キャやオタクやスクールカースト中下位はトラックに轢かれた異世界転生で立場逆転狙うわけですが、アメリカ人は大災害や怪物の襲来が異世界移行のトリガーになるんですね、と。

よくわからないのは、話を進めるキューを「やるなと言われたことをやる奴がいる」「絶妙のタイミングで不必要なミスをする奴がいる」の二つに頼る書き方。

ハリー・ポッターもこればっかですよね。

逆に、国産SFではあまりこれ、見かけない気がする。

一昨日見てきた「仮面ライダーグリス」でも事態が悪化するのは、単純に敵組織の能力が高い(より強力な権力を持った人間が悪いやつだった、より強力なモンスターに変身出来る、など)から。

一方で「ハリー・ポッターと賢者の石」を例に取ると、

分岐1:賢者の石回収(得点1:得点者ハグリッド)
分岐2:ハリー・ポッターの箒チーム加入(得点2:自殺点マルフォイ)*
分岐3:フラッフィー発見(得点3:ネビルのミスからの自殺点マルフォイ)*
分岐4:ハーマイオニーのパーティー加入(得点4:クィレルのシュートをハリー・ポッターが弾いたところをロンが押し込む)
分岐5:箒サッカー初戦勝利(得点5:クィレルのシュートをハーマイオニーが弾いたところをハリー・ポッターが押し込む)
分岐6:反転した願望の鏡発見(得点6:ダンブルドアのパスをハリー・ポッターが流し込む)*
分岐7:ドラゴンの密輸(失点1:クィレルのミドルシュートが豪快に決まる)*
分岐8:グリフィンドール150点減点(失点2:ハリー・ポッターの自殺点)*
分岐9:ユニコーンに出会う(強制進行イベント)
分岐10:最終ダンジョン突入(得点7:ハーマイオニーとの流れるようなパス回しからハリー・ポッターがキーパーの逆を突いた技ありゴール)
分岐11:人間チェス突破(得点8:ロンのミドルシュートが決まる)
分岐12:パズル突破(得点9:ハリー・ポッターがゴール前から折り返してハーマイオニーがシュート)
分岐13:賢者の石発見(得点10:ハリー・ポッターにイヤボーン発動で強制得点)

アスタリスクが付いているのが「やるなと言われたことをやる奴がいる」「絶妙のタイミングで不必要なミスをする奴がいる」でイベントを進めている箇所。

13ある分岐のうち5箇所で使っている。

ところが最終ダンジョンに突入した分岐10以降は一転して全員がノーミスノーエラーの完璧なチームワークを見せる。最後は主人公埋め込みチート能力が勝手に発動して勝ち確定。

分岐8まではマイナークラブが運だけで勝ち進んでいる雰囲気なのに、分岐10以降はチャンピオンズリーグの決勝常連みたいな試合運び。

みんなそういうのが好きだから、と思ってしまえばそれまでだけれど、私はこういうの苦手なんだよ。ハーフタイムに選手全員入れ替えてきたみたいなの。

仮面ライダーと英米パニックものの違いをまとめるとこうなるのかな。

【仮面ライダー】

事態が悪化するのは敵の能力が時間経過とともにアンロックされて強力になるから。事態の収拾はヒーロー側の努力による能力強化とチームワークの強化による。

【英米パニックもの】

事態が悪化するのは味方のマネジメントが崩壊しているから(命令に従わない奴がいる・フェイルセーフが機能していない)。事態の収拾は主人公の超絶強運発動による(中盤までに常識的な味方はほとんど無力化されているので、終盤は「そんなの有り得ねえだろ」というラッキーヒットをノーミスで連発して大逆転)。だから終盤のクリフハンガー連発は原則ヤラセ。絶対助かるやつを大げさな画面演出でヤバそうに見せている。