ここ1ヶ月ほど毎晩のように夢にレスポールが出てくるので、しょうがないから近所のリサイクルショップで韓国製のレスポール・カスタムのコピーモデルを買った。
7800円。
G-LP60Cというモデル以外でグラスルーツはこのスペックを作っていないし、実際に細かいとこを見ても不自然さはないので、G-LP60Cなんだと思う。
ただ、普通はヘッドの裏に入っているシリアルナンバーが見当たらない。あるはずのものがないからなのか、あるいはエルボーのところにクソダサいステッカーが貼られていたからなのか、中古相場3万円のものが7800円。
これはもう縁があったなと思って連れ帰った。
自分はレスポールはそんなに好きじゃないんだが、その大きな理由が、生鳴りが良い個体が少ないというもの。生鳴りというか、サスティーンというか。こうさ、5弦開放と4弦+3弦の2フレットでAのパワーコード弾いたときに、ビイイイイインというバネを弾いたような感触が体に伝わってくるかどうか。
これね。案外無いんだよね。USAのフェンダーやギブソンでも。
生鳴りなんかアンプ通したら関係ないという意見も根強いが、これはもう好みの問題で俺はアンプ通さない時の鳴りとサスティーンの感じが悪いギターは嫌なの。これはもう個人の好みなんだろうね。コルグのショールームで高いPRSを弾かせてもらったらさすがに鳴る感じはあったんだけど、逆になんかこれ軽薄な鳴り方だなあって思ったし。学生の頃に70年代のUSAのストラトやテレキャスをちょっと弾かせてもらったこともあるけど、うーん。学生の時に使ってたシェクターのストラトもここがイマイチだった。
それからね。昔バーニーのRLG-60を持っていたんだが、やはりイマイチこの鳴りが良くなくて結局、大学を出て少ししたら後輩に売ってしまった。彼はそのギターを大いに気に入って、俺の披露宴でも弾いてくれたから、正しい持ち主のところに渡ったと思っている。
以来、レスポールに興味は無かったんだけれど、唯ちゃんとぼっちちゃんが二人ともレスポールだったのでオモチャとしてまた触ってみたいなという気分はあった。
ま、見た目は最高なんだよねレスポールはさ。
だから、ちょっと仕事が忙しくなる(=売り上げがハネる)と、レスポール買ってみようかなあと思って楽器屋に行くわけだ。ここ10年くらいの定番の行動パターンとしてね。
ただ、ギブソンのものでも今までこれは良いと思う個体が一つも無かった。今まで触ったレスポールで一番良いなと思ったのは教え子 が学生時代に使っていた白のグレコ。あれは良いギターだった。生で弾いた感じが、お、これはと。
でも、あれくらい。設計として重すぎるんだよな。もともと。レスポール。今のやつは中に空洞作ってるもんね。
逆に安物のデタッチャブルネックのやつだと鳴る個体たまにあるんだけど、そういうのってネックがブーメランみたいになってたり、部品のグレードがこれでもかという底辺だったりで、まともに弾ける状態まで起こすだけで3万4万5万(笑)
だからこれもきっとあかんだろうと思ったんだけど、フレットめっちゃ残ってるし(弾いてなかったに違いない)、ネックも反ってないし、鳴りも良かった。
連れ帰って調整して磨いて弦張り替えたら、
おおお! これは! 良いじゃな~~~い!!!
ボディ材はバスウッドかアルダーか、どっちか。木材の色を見た感じではアルダーですね。年式によってはマホガニーボディのものもあるんだけど、マホガニーの色じゃなかった。バスウッドの色でもなく、これは見慣れたアルダーさんじゃないのと。
重さは、測ってみたら4.1kg。カスタムはマシンヘッドが重いからね。スタンダードで今は4kg越えるのはギブソンでは珍しいみたいだけど。4.1kgはギリギリ許せる重さだな。
指板はローズウッドでテイルピースは妙に軽いからアルミかもしれん。前に持ってたバーニーは鉄だった気がする。ピックアップはGH-1という、グラスルーツの汎用ハムバッカーですね。この手のものは型番なんてあって無いようなものだから(同じ型番でも仕様はサプライヤーやロットによって変わる)、これでGH-1というピックアップの良し悪しを語れるとも思えないけれど、外して裏を見たらちゃんとパラフィン含浸してあるし(何度も比較して悪いがバーニーは含浸してなかった)音は、悪くない。
はい。
悪くないと思います。
私はダンカンのSH-1やSH-4が結局は好きでディマジオやEMGは色々使ったけど全部手放しちゃったという趣味なんだけど、そうですねえ、どっちが好きかと言えばSH-1/4のが好きです。でもこのGH-1ってのもある程度以上歪ませて使うなら全然OKじゃないかな。これで武道館ライブでもドームライブでも出来ると思うよ。クリーンやクランチでもダメということはまったく無くて。
要は趣味だからね。それにお客さんそこまでギターの音の細かな違いなんか気にしてないし。
こういうのはもともと無難な味付けのヴィンテージ風味だから、エフェクターやアンプでの音作りと、あとは弾き手の腕次第でどうとでもなるもんです。だってさ、あーた、ピックアップの型番よりもアンプのトーン・コントロールの位置の方が全然、出音に影響しますからね(笑)
もしもこれを読んでいるあなたが高校生か大学生かフリーターかなにかで、グラスルーツのG-LP60Cだっけこれ、でもバーニーのRLG-60でもエピフォンでも、ブリッツ? アリアプロのあれね。あるいはトーカイとか。5万円くらいのレスポールコピーをやっと手に入れたとする。
でもネットの評判ではピックアップがダメとか書いてあるどうしよう。
気にする必要無いっす。いやもう全然。これとボスのGT-1だっけ、あの安いマルチ。とか、それこそチューブスクリーマーとかOD-3とかブルースドライバーとかの定番歪みもんを1個買って、それでロックする方がロックですよ。音を変えたいなと思ったらアンプやエフェクターのトーンをいじってみたり、ギターのトーンを少し絞ってみるとか、アンプのゲインノブをいじるとか、ピックを変える、弾き方を変える。
そういうね。カネのかからん工夫を積み重ねる方が絶対良いです。
15歳でギター買って51歳まで36年間にアホほどカネも使ってみた結論ですよ。結局一番効くのはセッティングと弾き方、腕前。そこ。ギター本体はネックとフレットと弦高のコンディションだけちゃんと管理しとけば充分。ピックアップ交換で3万使うより、スタジオ代や弦代、音源代、あるいは憧れのミュージシャンのライブのチケットにそのカネ使った方が絶対幸せになれる。
とまあそんなわけで、グラスルーツ。名前はダサいけど良いギターでした。
めっちゃ弾いてるよ毎日。