『ルート66をゆく:アメリカの「保守」を訪ねて』

松尾理也『ルート66をゆく:アメリカの「保守」を訪ねて』(新潮新書2006年)も読みました。

何故か今だに色々な人に加藤先生と呼ばれるので、先生っぽいことを続けなければなりません。つらいなー(ここで地獄のミサワさんを思い出していただけると嬉しいです)

くだらない前置きは終わりにして、10年前、オバマさんがまだ上院議員として出てくるような本ですが、とても面白かった。

ドナルド・トランプみたいなのを支持しているのは多分こういう人たちなんだろうなと想像しながら読んだのですが、出てくる人がみんな真面目で良い人なのよ。わかりますかこれ。

メガチャーチに集まる市民、進化論を受け入れない先生。アフガン帰りの州兵はアフガン人をリスペクトしているし、ルート66文化を復興させて観光資源にしようと頑張っているのはアフリカ移民だったりポーランド移民だったり。

そして意外にもブッシュ大統領(息子の方)がこのエリアの保守派の市民に大変不人気だったという事実。

中西部の保守派市民は「小さい政府」「モンロー主義」「福音主義」の3点セットなので、イラク戦争をしたブッシュはダメなわけですね。メキシコからの不法移民の合法化プログラムをやったのもダメだと(だからブッシュはヒスパニック系には人気が高かった)。

そう考えた時、トランプの政策の多くがこのエリアの価値観にぴったりフィットしていることがわかります。若くて美人の妻を自慢するとこが中西部の家族主義とどうマッチするのかはよくわからないけど。

たしかに白人でヘテロセクシャルでキリスト教徒でという人でなければキツい土地柄だというのはあるでしょうが、そういう人たちが真面目に暮らすには良い土地なんでしょうね。