河野真太郎の水星の魔女論に(略)

河野真太郎の子供向けの本に水星の魔女がネオリベ思想とビルディングスロマンのかけ合わせだと書かれていて驚きました。

株式会社ガンダムはネオリベ的なメリトクラシーとは全く異なる、ミオリネとスレッタのシスターフッド的恋愛感情と地球寮というマイノリティの共同体が結びついた、家族的な零細スタートアップだったはず。ジェターク寮もグラスレー寮もブリオン寮も家族的であることは同じ。カルスタと英文学しか勉強してないとそのへんの解像度や理解力はこんなもんなのかと思いました。

水星の魔女において本当にネオリベ的だったのはベネリットグループ本体で、中でもペイル社は本物の鬼畜でした。

一方、株式会社ガンダムが本物のネオリベならガンド技術を迷わず兵器に使ってたでしょうし、エピローグで出所してきたニカをみんなで迎えに行かなかったでしょうし、シャディクガールズをまとめて引き取ったりラウダとペトラを雇ったりしなかったでしょう。

あれはネオリベ的組織(ベネリット、MS開発評議会、宇宙議会連合など)に愛と友情と気合で挑んだ子どもたちの物語ですよ。英文学者の水星の魔女論は小川公代のもかなり雑でしたが、文学研究だけで様々なポピュラーコンテンツを読み解くのは(90年代から00年代に流行りましたけど)、もう高品質なものを作るのは無理なんじゃないですか? 今はコンテンツの作り手の方が色々勉強してますし専門家の監修も付いたりしますからね。