原宿のギャラリーの外壁に女性モデルが赤い紐で縛られたような形でぶら下がったハプニング / インスタレーション。
塩田千春のパクリだとか安全面に配慮が無いとかゾーニングはどうなったとか、左翼系知識人からは概ね大不評のようだ。草間彌生がフリチンの男たちにブルックリンブリッジを渡らせたのはOKなのかとか、マリーナ・アブラモヴィッチのパフォーマンスアートの方が遥かに危険だろうとか、知識不足なのかダブルスタンダードなのかわからない批判を多数観測。
塩田千春作品かと思いました。近頃こういうの多いですね、五輪の開会式といい、閉会式での加藤翼さんの「縄張りと島」(東京オペラシティ アートギャラリー)の無断引用といい。@wwd_jp 緊縛師のHajime Kinokoが原宿のアートギャラリーを“緊縛”するインスタレーションを開催https://t.co/vPB3tUAgoG
— Ikuo Gonoï (@gonoi) May 2, 2022
が、見た限りでは塩田千春とはロープの使い方が違うように思えるし、現代アートでヌードを用いたハプニングは珍しくない。
軽く調べただけでも、ギャラリーも真っ当なファインアートの展示企画をしているところだし、モデルさんも経験を積んだプロ。基本的なジェンダー研究や表現の知識も持たずにやっているとは到底思えない。こうした表現を毛嫌いする声のデカいツイフェミに安易に追従せず、もっときちんと見るべき作品ではないだろうか。
赤い紐で縛られた女性たちが建物の外壁にくっついている状況が何を表現しているのかはそれぞれが考えるべきことで、このレベルで論争的な作品は現代アートなら珍しくもなんともないので「表現として良い・悪い / 好き・嫌い」を語るのは良いが、「やってはならない」という主張は極めて難しい。作家のステートメントも参考になる。
論争的であり多様な読みが可能なものであるという点で、原宿の「緊縛アート」はかなり攻めていると思うし、美的にもよく構成されていると感じる。
爆風スランプ的なもの(chimpom)や米米CLUB的なもの(目[mé])と毒抜きされた状態で著名公立館に巡回する外タレの個展が現代アートであるという日本の風潮では嫌悪されるだろうが、それでこそ現代アートだ。次は是非、NYかロンドンかベルリンかパリで同じインスタレーションに挑戦して欲しい。もっとまともな反応があるはずだから。