改めてテレビでヤマトのガミラス星侵入から第2バレラス崩壊まで見て、もう一度、今度は物語世界内の理屈でデスラーの過激な行動の理由を考えてみました。ネタバレありまくりですよ念のため。
さて、メタレベル(物語世界を構築する立場)で考えれば、波動砲を禁じ手扱いにして「波動砲によるガミラス星の破壊」プロットを削除した結果、ガミラス星は残った上で地球への再侵攻の可能性を消さねばならず、その為にはヤマトと敵対するのはガミラス人ではなくデスラー個人という図式にしなければならない。だからデスラー個人がムチャやる人に改変されたんじゃないか、というのは、前回のポストで書きました。
「宇宙戦艦ヤマト2199 第7章感想」
http://blogs.yahoo.co.jp/hokulea2006/62126875.html
では、物語世界内ではデスラーの行動はどういう理屈になっているのか?
私見ですが、デスラーの行動の基本にあるのは、やはり政治家としてのヴィジョンかと思います。私はこの国をこうしたいということですね。24話以降で出てくるシーンですが、デスラーはイスカンダルのスターシャが掲げる「全宇宙のあまねく星々の救済」を真剣に実現しようとしていると明言しています。ですからこれが彼のヴィジョンでしょう。
問題は、いかなる手段でこのヴィジョンを実現するのかということです。いや、もっと細かく言えば、帝都バレラスの壊滅が何故彼のヴィジョンにとって必要だったのかということです。だってスペースコロニーは落とすわ、デスラー砲で総統府に刺さったヤマトを撃とうとするわ、しかもその際に「通過儀礼」「この罪は未来永劫、私が」と口走るわ。
おまえ、ヤマトは口実だろ。やりたかったのはバレラスを潰すことだろ。
そう考えると、かなり色々なことにつじつまが合って来ます。何故、七色星団会戦でドメルに旧式の空母数隻しか与えなかったのか? 何故、ギムレーはヤマトを真面目に迎撃せず帝都中枢に入れたのか?
デスラーはどこかの段階で(おそらくゼーリックの反乱の直後)、ヤマトを奇貨としたバレラス壊滅を思いついたのでしょう。必要なのは「制御出来る程度の強力な敵が帝都に侵入すること」です。それによって「敵を撃退するついでに首都が壊滅しちゃったゴメン」とやる。
デスラーは、もしかしたらヤマトは使えるんじゃないか、ということを思いつき、でもまあドメルがヤマトを沈めるならそれでも良しとした。しかしドメルは敗死し、デスラー砲での長距離狙撃も失敗(ちゃんと狙ったのか?)。よし、これは千載一遇のチャンスだと。
では、何故、バレラスを潰したかったのか。
そこでゼーリックの反乱が意味を持ってきます。ゼーリックはかなり強烈な民族主義者で、しかも保守反動的な思想を持っています。ガミラス人以外の異民族を差別しちゃうわけです。ですが、イスカンダルのスターシャの思想とはこれは相性が良くありません。
なら、ガミラス星を壊滅あるいは崩壊させてしまえば、ゼーリックのような選民主義的なガミラス人の思想のよりどころが無くなってしまうじゃん。丁度良い。
「こんな星にしがみついて何になる」ですよ。
「この罪は未来永劫私一人が背負う」ですよ。
もうわかった、俺がこの手でガミラス星を潰す。ガミラス星が無くなったら一等も二等も異民族も無いじゃん。
「これは通過儀礼」ですよ。
彼はガミラス帝国そのものを滅ぼしたり捨てたりしたかったのではなく、ガミラスの民族主義を滅びしたかったんじゃないか。少なくとも第2バレラス崩壊までは。
その後の彼は、どう考えても「恋人を取られた恨み」の八つ当たりでヤマトを追ってたと思いますがね。