社会学者に専門的知見を求めるなら,「ナントカ社会学」のレベルで専門家を探して人を呼びましょう。

社会学の大学院生や大学院在籍歴のあるライターが炎上商売を続けているおかげで,社会学という研究領域がまるごと,定期的にバカにされる事態が発生しています。

ですが,ここには大きな見落としがあります。

社会学って「物理学」や「医学」と同じくらい巨大な研究領域なので,今は「社会学者」ってだけでは「物理学者」や「医師」という程度にしか専門性がわからないのですよ。

例えば私は芸術社会学や障害社会学が専門で,教育社会学や環境社会学や労働社会学は専門家としては論じられない。卒論レベルなら指導は出来ますが,修論以上では無理。だから修士で私の専門ではない分野に進む教え子に対しては,一般論としてのアドバイス(研究ノートの書き方とか,ギョーカイでの人脈の作り方とか)はしますが,それ以上のことは自粛です。

(余談だけどそうやってアドバイスした教え子が立派に社会学者で専任教員になったよ)

では問いますが,「社会学者」と呼ばれてマスメディアでタレント商売をしている院生や元院生たちの専門領域は何でしょうか? ナニ社会学なの? ナニ社会学者なの?

これは,お医者さんが内科医なのか外科医なのか産婦人科医なのか眼科医なのかと同じ話です。内科医を呼んできて眼科についての専門的なトークを聞けると思う愚か者は流石に居ないはずですが,社会学者については専門性の無い(=専門性を身につけていない,専門性を身につける以前の段階にいる,専門性を身につける以前の段階で終わっている)若造を呼んできて適当な話をさせるというキャスティングがまかり通っている。

そのキャスティングをしている人たちは,大学でちゃんと勉強しなかったのではないかと疑わざるを得ません。

真面目に卒論書いたら,先行研究をレビューする段階で専門性の見分け方は習うはずですから。