私自身,とある地方の有力企業(業界シェアは世界レベルで何割,みたいなとこですよ)から,相談されているんですよ。良い人材が欲しいけど地元の国立大が全然こちらのニーズに応えてくれないんですが・・・・と。
ですから,こういう学部へのニーズはあるんだと思います。地方では実際に。
(以下引用開始)
愛媛大学が新設したのは社会共創学部。地域産業の課題を解決し、新産業を創出する人材を育てる産業マネジメント学科、地元産業の発展に寄与する人材を養う産業イノベーション学科、地域資源や文化を活用する能力を育む地域資源マネジメント学科、人と自然が共存する持続可能な社会を構築する環境デザイン学科の4科を置く。
(引用ここまで)
では,この愛媛大学の取り組みは地方財界の期待に応えうるのか?
結論から言いますと,半々,かなあ。
地元の国立大の学生に対し,県内企業への就職を促す一つの装置にはなるでしょう。大都市に流出するか地方公務員になるかで,地元企業に就職ということをあまり考えないであろう,そこそこ気が利いた若者たちの目を,そちらに向けさせることは,しばらくの間は,出来る。多分。
でも,根本的なとこでは何も変わらないだろうな,とも思う。イノベーティブな,エッジが効いた若者ではなく,みんな仲良く長幼の序を厳守するコミュニタリアンの若者が入社して,地元の保守的な気風に染まっていく可能性が高いと思う。
そう考えた理由は二つ。
まずこの学部の教員リストを見ると,愛媛大の既存学部からそれらしい看板に付け替えて寄せ集めた雑多な教員集団になっているということ。つまり農学部や法文学部や教育学部や工学部の建物に研究室があって,そちらが本来の所属である人たちが,書類上は「社会共創学部」にも出現しているダブルロール状態です。
ということはね。教員集団がミッションとヴィジョンを共有していないってことです。学部のミッションについて,オーナーシップを持って取り組むスタッフの集団ではない。
もう一つは,地元政官財界とみんな仲良し体制が前提になっているということ。だから「これもう終わってますよ。潰した方が良い。」とか「こんな会社に入りたい人,居ないですよ。会社を根本的に変えるか,潰れるかじゃないですか?」とか,
多分,絶対言えない。先生も学生も。
だから課題の手当ては出来ても解決は,おっと誰か来たようです。