中学生のラボ無料見学リクエストが困るならそうウェブサイトに書いておけば良いだけではと思った

東大の教員が、調べ学習かなにかの延長でインタビュー申し込んでくる中学生が多すぎる、自分は搾取されている、とツイッターで毒づいていて、教員や研究者を名乗るアカウントから大量の賛同意見が寄せられている。

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搾取って言葉の意味を教えてくださいと紳士的に質問した中学の先生を、そういうアカウント群が袋叩きにしている。不思議な光景。

まず、忙しいとか子供が嫌いだとかで、中学生の相手をしたくないのならば、ウェブ上の見やすい場所に、そういう依頼はお受けしておりません悪しからずご了承下さいと書いて、あとはメールや手紙は既読スルーしとけば良いと思うわけだ。

搾取というのは権力によって資源の提供を強要する行為であるわけだが、東大教員は中学生に権力で支配されているものだろうか? たしかに東大教員の生計や研究活動のかなりの部分は日本住民(必ずしも国民ではない)の収めた税金が原資になっているので、「知るかばーか」(後述)と嘯いて終わりにするのも憚られるのかもしれないが。

知識の提供には対価を払うのが大人の常識だろう、という論法で中学の先生を叩いている沢山のアカウントを見て思うのは、それ以前にそういうミスマッチが起こらないようにコミュニケーションをしておく(先に示したようなアナウンス)のも大人の常識ではなかろうかということ。

すなわち、もしも貨幣による対価を払えば中学生でも相手をしてやって良いということならば、1時間あたり3万円でも5万円でも10万円でも自由に料金設定して、この金額を払ってくれたらお相手しますと明記しておけば良いわけだし、金銭以外にも何らかの条件があるのなら、それを示しておけば良いのだね。

森博嗣センパイなど極めて詳細で丁寧なアナウンスをウェブサイトに掲示している。

個別のご質問には一切お応えしません。
また、「○○を見て下さい」「○○を読んで下さい」「○○を許可して下さい」というご依頼にも一切お応えできません(こういった内容は秘書が削除するため森博嗣まで届きません)。

念の為、くだんの東大教員のウェブサイト(東京大学教養学部広域科学専攻生命環境科学系の四本裕子研究室)を確認したが「Contact Us」というタブをクリックすると研究室の住所とメアドが出てきて、「ラボ見学は随時受付中!」という文言もある。
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そして、それだけ。であれば、中学生から見学リクエストが来るのは仕方が無いと思う。子供だけではない。飛び込み営業メールや電凸営業や飛び込みリアル営業なんか、どこの会社でも・当・た・り・前・にやっている。チラシのポスティングもそうだ。自分が金沢大の院生だった頃、先生の研究室でゼミをしていると株屋や不動産屋からの電凸営業がちょくちょくあった。うちにだってECコンサルだの広告代理店だのが営業メールやペーパーメディアを送りつけてくる。

邪魔くさいのは確かだが、それはお互いさまだ。そうやって我々営利セクターは新規事業や新規取引先を開拓し、売上を作り、利益を出していくしかない。そこから収められた税金も東大の運営に使われている。それが困るなら、前述の通り、「中学生の皆さんへ」と題して問い合わせのガイドラインなり料金表なりを書いておけば良い。それが大人の振る舞いだと思う。

それをせずに、いきなりツイッターで毒づくのは、ストレスを抱えた同業者からは熱い支持が集まるのかもしれないけれども、かなり大人げないと私は思うのだが。

(とここまで書いたので、調子に乗って「弊社は中学生の見学は随時受け入れております。ただし見学中の様子は全てウェブに実名顔出しで紹介させていただきます。それだけが条件です」とアナウンスしておこう)

1/21追記:知人の心理学研究者から、彼女は知り合いだが決して悪い人ではないですよというコメントを頂いた。また研究者としては極めて優秀な人ですとも。私も本物の極悪人はそれなりに知っているので、彼女が悪人でないことはわかります。ただ、雑用を削減したいならツイッターで毒づくより、もっと気の利いたやり方はあるんじゃないかなと思うだけです。

あと、新井紀子にしろ四本裕子にしろ、マスコミで有名な女性研究者でもこんな凄い毒を吐くんだ、ということが、ツイッターを見れば子どもたちでもすぐにわかるので、そういう意味では逆に教育的かもしれない。四本研究室に見学依頼を送った中学生たちは今頃は震え上がっていることだろう。

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マスメディアで四本先生を知って色々検索した子どもたちがたどり着くはずの四本先生のツイッターの一発目がこれだから。これがありのままの大学教員の実像で、男性だろうが女性だろうが東大だろうが、毒吐きするひとは毒吐きする。手にした権力や名声に見合う器量が無ければ、その器からオーバーフローした何かはツイッターやリアル世界にこぼれ落ちて、その器の持ち主についての何かを語る。

これを見て、四本先生カッコいいとか、四本先生憧れる、とか、こういう大人になりたい、と思った子たちはきっと研究者を目指すことだろう。