ラウシェンバーグの「ブロードキャスト」にインスピレーションを受けた息子が制作を始めた謎のミクスドメディア作品。
ようやく、全貌が見えてきました。
ラジアタパイン集成材を500*250*15mmに切り出して芯芯380mmでフォステクスの8センチフルレンジユニットを装着。バッフル面の裏側にはメーカー推奨の2リッターの密閉エンクロージャーが左右に付いています。バッフル面には謎の抽象絵画が描かれました。
さて、センターtoセンターで380mmに固定された8センチフルレンジスピーカーの音像定位感は驚異的です。バッハの「音楽の捧げ物」とか「マタイ受難曲」とかブルックナーとかかけると、どこにどの楽器があるかピンポイントで「見える」くらいです。
ところが・・・その音像定位を味わう為にはこの抽象表現主義的絵画の真ん前、400mmくらいのところに顔を近づけなければなりません。
すると、否応ナシに鳴っている音楽とは全く無関係な絵画を至近距離で凝視し続けるという体験を強要されます(爆笑)
音楽の聴取体験は私の博士論文で入念に論じたものですが、エドゥアルド・ハンスリックの言う「美的享受」をしようとすると、有無を言わさずにこの強烈な視覚体験に引きずり込まれるというこのコンセプトは、現代のコンセプチュアルアートとして充分に成立しています。むしろ、ちゃんと学問を修めないで手ばかり動かしている芸大や美大の出身者よりも、コンセプトはクリアで面白いです。恐るべき6歳児です(ただの天然か)。
今日は更に発光ダイオードを買って来ました。バッフル面にドリルで穴を開けてこれを固定します。これで、反射光だけでなく自発光も絵画面から聴取者に向かって飛んで来ますから、目をつぶっていてもまぶた越しにダイオードのイミフな光が突き刺さるというやつです。性悪です。私が考えたんじゃないですよ。
作品タイトルはやはり「Anti Hanslick Sound System」になるのでしょうかね。