人社系学部におけるフリーランス教育

私の教え子の中には、ほんの一握りですが、サラリーマンではなくフリーランスの道を選ぼうという学生もいます。

その一握りの中でもまた稀少な例外を除けば、能力や人格に著しいアレがあってサラリーマンになれないのではなく、むしろ平均よりかなり上の力を持っているけれども生き方としてフリーランス、という子たちです。

ただ、そんな子たちでもなかなか解ってくれないのは、上の世代がその業種で生活出来ているから、あなたの世代も頑張ればその業種で生活出来る、ということはあり得ないですよ、という事実。

事実ですよこれは。2世代60年ももたずに生まれて消えた職種はいっぱいありますからね。写植屋さんとかさ。

今60歳の人が働き始めたのは40年前だから、1973年。不況だなんだと言われても日本の人口はまだまだ増え続けていましたし(人口増ボーナスがある)、40歳直前にバブル景気という幸運もあった。

一方、2014年3月に大学を卒業する方々の前に待ち受けているのは、グローバル化によって発展途上国にどんどん仕事が流出する時代です。「頑張ってればいずれ順番が回ってきて上に行ける」なんて賭けはすべきではない。

だからフリーランスにはなるな、とは申しません。どんどんフリーランスに挑戦して良いと思います。ただ、その為には売上と利益の違いとか、投資とリターンの概念とか、つまりはファイナンスですね。ファイナンスの考え方は勉強しといた方が良いんじゃないかなあと感じるのです。

例えば「フリーライターになって1本2万円の原稿を年に250本書いたら年収500万じゃないですか・・・」というような間抜けなカネ勘定をしていては、いくら実力があってもサスティナブルじゃないでしょう。昔は売上がどんどん増えたからそれでも何とかなったのかもしれないですが、これからは・・・・無理。いかに効率的に資金を運用して利益を出すかとか、新しい収益源を開拓するための投資をどのように行うかとか、フリーランスこそそういうところを締めていかないと、生き延びられない時代だと私は思っています。

社会学部というところでそうした知識を教えるというのは不可能だったのですが(あ、でもセミナーは自主開催しましたよ)、こんだけフリーランス志望が出るのであれば、もうちょっと何とかしといた方が良かったかなあ・・・・と、少し後悔しています。