伊豆大島合宿を終えて

伊豆大島3泊4日の合宿から戻りました。

幾つかのインシデントはありましたが、怪我とか事故とか犯罪とかの騒ぎは無く、まずまず順調に合宿を終えられたことに感謝しています。

以下、雑感を。

1:伊豆大島はじわじわくる

 色々な意味でじわじわ来る土地だと思います。初日は町の寂れっぷりのヤバさに驚いていた学生たちでしたが、2日目の晴天では海や山の美しさを堪能し、また面白い住民の方々にも出会うことが出来て、「伊豆大島に来て良かったです!」という声も。

 ただ、とっつきにくさはやはりありますね。交通の不便さはただごとではないし、住民との交流も運任せみたいな部分があります。可愛い女子大生3人が基本編成だった当ゼミの各調査チームは、「道を尋ねたら車で乗せてってもらえた」という反則技を連発しておりましたが。

2:「日本の縮図」

 あるインフォーマントが「伊豆大島は日本の縮図」とおっしゃっていたそうですが、たしかにそれは私も感じました。老人はともかくこれまでのやり方で食えているから(食えない人は島外に出て行ってしまう)、新しいことに積極的になれず、中堅や若手が何か新しいことをやろうとしても全体での意思決定が出来ない。結局、やりたい人やれる人だけで集まって動くしかない。

3:郊外との共通点も

 あと、意外にも稲城と似た構造を感じました。地付きのローカル層、20歳から50歳とか60歳まで地域にいなかった(都心部に働きに行っていた)けれど引退して地域に戻ってきた人たち、そして地元で新しいことをやりたいと思っている若手・中堅。それぞれ価値観や発想が異なり足並みが全然揃わないので、個々の動きが小さくなり、広がっていかない。同じようなドツボなんだなあと、伊豆大島で新しいことを始めようとしている若手・中堅の方々とのインタビューを傍で聞いていて感じました。

4:合宿は効く

 去年も思いましたが、合宿はゼミの結束を高めてくれますね。本当は5月末に1泊の宿泊研修をやるつもりだったのが震災でぶっ飛んで、結局前期の間はゼミ全体が有機的に一体化するという段階に至らなかったのですが、特に3日目の夜の明け方までガールズトークというのが(私は現場を目撃していませんが)大変効いたようです。これで後期は面白いことがやれるんじゃないかという期待も高まりました。

5:実戦も効く

 フィールドを歩き回ってインタビューをして、内容を報告して話し合って、というプロセスを繰り返すことで、学生たちの表情もぐっと締まってきたように感じます。1件、ケアレスミスで取材先に伺うのを忘れて、先方からかなり怒られたというインシデントもありました。これについては私からも「2度とこういうことが起こらないよう、今回の経緯を検証して再発防止策をまとめ、後期初回講義時に提出せよ」と指示してあるのですが、いくら地アタマは良くても実戦経験はゼロに近い子たちなので、こういう失敗を経て成長しなければいけない部分もあると考えています。

6:そして自分の人生についても

 今回、他にも良かったなと思うのは、学生たちが伊豆大島の方々の色々な人生、色々な生き方に直接触れられたという点ですね。私が同席したのは、公務員をリタイアして自宅を民宿に改装している最中の方、伊豆大島に移住して新しい形で伊豆大島の魅力を発信しているウェブデザイナーの方、そして東京都大島支庁に新宿の都庁から転勤してきて仕事をされている都職員の方とのインタビューでしたが、実際、大学で講義を受けてバイトしてサークル活動をしているだけではなかなか出会えない方々に、2時間近くもじっくりと仕事についての考えや思いを聞かせていただけたわけで、これは社会調査実習とは別の部分で、とても勉強になったと考えます。まもなく就職活動も始まりますが、自分自身の仕事や生き方をどうしていくかということを考える参考にもなったはずです。