多摩川の渡し

 最近、多摩川をこれまでとは逆の方向、下流の方向に走る機会が増えています。昨日も所用で仙川まで走って来ました。是政橋の府中側のたもとからサイクリングロードに入って、稲城大橋、多摩川原橋、京王相模原線と下っていくと、大きな堰が川をせき止めている場所にさしかかります。二ヶ領用水宿河原堰(にかりょうようすい しゅくがわらぜき)です。多摩川の川崎側にある二ヶ領用水に水を引き込む為の堰堤ですね。堰の上はかなり川幅もあり、中州や岸辺には芦やススキが茂っていて、水鳥がまったりと和んでいます。私はこの辺りの景色が好きでして、サイクリングロードを外れては岸辺の草むらの中につけられた小道を自転車で辿っています(サイクリングロードから見えない所に河原生活者のテントがあったりします)。

ライブカメラ映像
http://www.tamariver.net/studio/live/syukugawara.htm

 私、ここを通るたびに、中州に渡ってみたいと思うんですよ。それも、貸しボートみたいな没個性な船じゃなくて、こういう船で。

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 いかがですか。なかなか格好いい和船でしょ。内田正洋さん的にはこれも日本のカヌーですな。多摩川サイクリングロードを走っていると、今現在橋がかかっているところには、たいがい「渡し跡」があるんですよね。つまりこういう川船で川の両岸を繋いでいたわけです。いわば多摩川のカヌー文化ですわ。

 それでねえ、私、思うんですが、せっかくまだ船大工さんが残ってらっしゃって道具類もあるんだし、もっとこういうものを地域の財産として活用して良いんじゃないでしょうか。それこそ、和船建造学習のプログラムを自治体やNPOで組んで、子供から若者、私のような暇人まで、みんなで和船を造ってみる。和船が出来ればそれで川に漕ぎ出す。ポリネシア航海協会のような大規模なものは無理ですが、多摩川渡河協会とかいってね。Tamagawa Voyaging Societyなんて、インチキくさくて最高じゃないっすか。

 実は私自身、地元の自治体でそういうことが何か出来ないかと思っていたんですが、去年かな、小学校や中学校で教育ボランティアをしませんかという募集が出たので、市役所に話を聞きに行ったことがあるんですよ。航海カヌーの話でも出来たら良いななんか思って。

そうしたらね。聞いてあきれて下さい。市役所の教育課が求めていたのは、土曜日や放課後に教科学習の補習をボランティアでやってくれる人ね。子供を塾に行かせたいけどお金が・・・・、とか、公立は週5日制で学力低下しちゃうからやっぱり私学よね、とか、そういう父兄に対するエクスキューズです要するに。もうね、アホかと。それって、ボランティアと称するプロのショバ荒らしじゃないですか。がっくり来ましたよ。

たしかに教科学力は大事ですよ。とっても大事。でも、教科学力をつけさせる(本当に身に付くかどうかは知らない)場だけは色々とある一方、そうじゃない場(学校行事・芸術科目・総合的な学習)が今どんどん潰されていっているなかで、せめて地域ボランティアと地域の子供が関わる場では、教科学力の話は遠慮しろよと思いますね。あほたれが。

多摩川中流域に伝わる和船建造技術を使って新しい和船を造って、そいつで川を下ってホクレア号を見に行くなんて出来たらいいなあ。幸か不幸か来年1月から私、何にも仕事の予定が入っていないし、この和船大工さんを捜してみようかな。