シルクロード写真展

 昨日は調布市文化会館で、シルクロードの写真展を見てきました。ナショナル・ジオグラフィックに寄稿しておられたマイケル・ヤマシタさんの作品展です。

http://members.jcom.home.ne.jp/4312079001/5page.htm

 200円は安かったですね。素晴らしい写真が並んでいました。ヴェネチアからスタートしてイラク、イラン、アフガン、タクラマカン砂漠、中国、さらにチベット、インドへと南周りルートも押さえてあってね。

 中でも感心したのは、美麗な景色だけではない、その土地その土地に暮らす人々の顔です。まあ一言でいえば、いい顔をしている。生まれ育った土地の風土が刻み込まれたような迫力がある。それにね、みんな姿勢がいいんです。背筋が伸びているという意味ではなく、デルモ立ちをしているという意味でもない。

 漁師さんなら漁師さん、農民なら農民、商人なら商人として最適な体捌きというものがあると思うのですが、みなさん、その道を極めた体つきをしています。竹馬で海の中をウロウロ歩きながら網を投げるなんて、私はやれと言われてもできませんや。

 そんな写真が沢山並んでいて、それはそれはエキゾチックでしたよ。

 でも、このエキゾチック感というのは、私が日本に暮らしていて、日本列島人の視点で彼らを見ているからこそ、感じられるものです。彼らにしたら、何の変哲もない日常風景でしょう。T72戦車の前で整列してメッカに礼拝を捧げるアフガンの戦士たちも、AK74突撃銃をさりげなく肩にかけて微笑むイラクの女性(すっげー美人)もね。

 ここで視点をひっくり返してみましょう。今、日本の私たちの日常生活を写真に撮って、彼らに見せる。きっと彼らも「なんてエキゾチックなんだ!」って感心してくれると思います。

 しかし、エキゾチック感を越えて、「格好いいなこいつ!!」って感じてもらえるのかな。私自身はきっと「なんか緊張感の無い野郎だ。」と思われて終わりでしょう。デスクワーカーの体つき、デスクワーカーの顔つき、デスクワーカーの服装だもん。私の仕事はPCとブロードバンドネットがあれば、別に日本じゃなくたって世界のどこだって出来る。ま、腕一本で世界のどこででも稼げるといえば聞こえは良いけど、下手をすると自分が世界の中のどこで生きているのか見失うかもしれん。

 そうそう、良く考えたら、私の家に和服って一つも無いですよ。そんな事で良いのだろうか。オフィスワーカーがみんなイングランド人の考えた服を着込んでいるのって、ちょっと不気味なんじゃないだろうか。ホリエモン氏が最近ノーネクタイで叩かれていましたけど、いっそ着流しでも着て登場したら面白かったかもしれないですね。少なくとも真夏にスーツでクーラー全開の民よりはホリエモン氏に共感します。

 日本の夏は暑いし、一歩オフィスから出たらやっぱり暑いんだから、もっと自分の住んでいる土地に根ざした格好した方が良いんじゃないか。自分が世界の中のどこに住んでいるのか、忘れない為にもね。

 ちなみにハワイではアロハシャツがフォーマルな服装として認められています。ご存じの方も多いでしょうが、あれはそもそも日本から移民していった方々が着物をほどいて作った作業服でした。ハワイの風土と移民の近代史を背負った服なんです。そういうのをきちんと評価して、フォーマル服にするって格好いいじゃないですか。どうせ国を愛するなら、そういうやり方で愛したいですよね。