share the value

やはり書き記しておきましょう。

今日、TNTエクスプレス・インターンシッププログラムの様子を見学に行った際に、恵谷営業本部長がこんな話をしておられました。社員は人財つまり会社の財産である。そして最も価値ある人財はパフォーマンス高く、なおかつ会社のヴァリューすなわち価値観を共有してくれている者である。マネージャーは基本的にこういう人財でなければならない。次に価値があるのは、パフォーマンスはさほどではなくとも会社の価値観を共有している人財であって、パフォーマンスは高くとも会社の価値観を共有してくれない人財は、場合によってはパフォーマンスを一時的に下げることになっても、会社の価値観を共有出来る人財へと教育していかなければならない。

もしもそれがどうしても上手くいかなければ、場合によっては会社から出て行ってもらわなければならない。なぜならば、会社とは個人プレーではなくチームでお客様にとっての価値を創造していくものであり、チームプレーが出来ない人財のパフォーマンスには限界があるからだ、と。

実は私のゼミ運営の基礎、特に今年度の3年ゼミは恵谷営業本部長の組織論やビジネス論にかなり依拠しておりまして、ゼミのミッションステートメントは、気づいた学生がいたかどうかはわかりませんが、今日の特別講義で恵谷営業本部長が話して下さったTNTエクスプレスの考え方を、8割方お借りしたものです。

さて、私の3年ゼミのとある学生。非常にハードなサークルに所属しており、特に引退年となる今年の最後の3ヶ月は平日も休日も関係無く毎日練習があるのだそうです。とはいえ、非常に真面目な子なので、今までもゼミの勉強で手抜きしたことは一切ありませんでした。だがしかし、この最後の3ヶ月は物理的に見てヤバい。考えれば考えるほどヤバい。どうしたものか。前々から話し合っていたのですが、私は昨夜、一つの提案をしました。グループワークは免除するかわりに、一人での作業を相応の量、分担してもらうこと。ただし講義中の議論への貢献度を相当に上げて欲しい。そして、他のゼミ生と充分に話し合って、グループ編成から外れることへの了解を取り付けるように。

私はリーダーシップやフォロワーシップの育成も重視していますので、グループワークから外すというのはかなり重い決断でした。ですが、グループ編成から外れたとしてもこの子なら一人で大きな仕事をやってくれることも、私にはわかっていました。それだけの実績がありますから。

ところが、返事は意外なものでした。このゼミを選んだ時点でハードなことはわかっていたし、皆がグループワークをしているなかで自分だけがそこから外れるのは違うと思いました。だから特別扱いは不要です。

このあとには、もっと泣かされる言葉もあったのですが、ちょっとそこは勘弁していただいて。

この子はゼミの価値観を完璧に理解していて、しかもパフォーマンスも高い。そして自分の選んだ道から逃げない。自分にも周囲にも嘘をつかない。本当に宝物のような人財だと感じました。こんな学生に出会えた自分はなんて幸運なんだろうと思います。私は幸福です。