二人の有名ブロガーが1週間空けて、グローバリゼーションについてそれぞれの意見を書きました。
内田樹は日本の大学が多すぎるという批判に対して「低学歴・低学力の若者を国内に増やせば低賃金で雇えるからだろう」と主張しています。一方のちきりん(伊賀泰代)氏は、「これからは知識労働者も世界中から調達出来る時代になる」と考えています。
私はちきりん氏の主張に説得力を感じます。実際、内田はこの引用の直後に、自分の教え子(神戸女学院大学文学部・入試難易度は偏差値でおよそ50強)が保険会社に入ったけど低賃金過ぎて困っているという話を書いているわけです。神戸女学院大学文学部で大学教育を受けた女性を存分に低賃金雇用出来ているのだから、内田はいきなり自説の論理構造を破壊しています。
ちきりん氏の説が正しいとすれば(立教大学社会学部・偏差値およそ65弱、での教育経験しか無い私のごく狭い視野からの実感で言えば、優秀な留学生による日本の新卒雇用市場の侵食は既に相当な勢いで進んでいます)、これから始まるのは世界規模での大学の淘汰です。個別の知識の伝達はいずれe-learningにコスト面で食われるでしょう。ではわざわざ教室まで時間と金を使って出かけて行くコストに見合った教育コンテンツとは何か。大学の先生方、これから先生になろうと思っている方にはそこを真剣に考えて欲しいですね。
内田樹(http://blog.tatsuru.com/2013/01/12_0952.php)
「中国や韓国やインドとの競争というのは要するにコスト削減競争のことなんです。同じ品質の製品をどれだけ安く製造できるかを競っている。その競争での最大の障害になっているのが日本の人件費の高さです。これを切り下げないと世界市場では戦えない。そういう話になっている。
今、大学生が多すぎる、大学数を減らせという話が出ていますが、低学歴・低学力の若者たちを作り出していったいどうするのかと言うと、低賃金の労働力がほしいからです。
たしかに国内の人件費を中国やインドネシアなみにまで切り下げられれば企業は海外に生産拠点を移す必要がなくなる。国際競争に勝つためには日本の労働者の賃金を下げるというのがいちばん簡単なんです。すでに低賃金化は深刻になっています。」
ちきりん(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20130119)
「今まで先進国の最先端企業は、自国の中で最も優秀な人から順番に採用していました。最も優秀な人たちは、その国で最も人気のある企業に就職するので、それ以外の企業は仕方なく“次のレベルの人”を自国内で採用していたのです。
でも、よく考えたら、他の国にはもっと優秀な人がいるじゃん!?
と彼らが気づくのは当然でしょう。そしてそれが可能になるのも時間の問題です。
第二次グローバリゼーションによって、工場で働いている人は、世界との競争にさらされました。これからは、ビルの中で働く人、大学で働く人、研究所で働く人たちが、世界との競争にさらされる番です。」