昨日は「六カ所村の使用済み核燃料再処理施設反対の方の言説のほぼ全てがノイジー」などと書いてしまったので、バランスを取る上でも、ノイジーではない言説をご紹介しておきます。
参議院議員の川田龍平氏が、今年の11月27日に参議院の環境委員会で質問した際の議事録です。
議事録の最後が川田議員による質問と、政府側の答弁になっています。
概要をかなり大まかにまとめておきます。
Q:11月18日の試験運転では、通常の原発に適用される排出濃度の1400倍のトリチウムが海洋に排出された。これは安全なのか?
A:国の規制値の範囲内に入ると認識している。
Q:環境大臣、農林水産大臣は、9万人以上の反対署名をどう受け止めているのか?
A:環境省として、国民の不安を解消出来るよう努力したい。農水省としては、水産物のモニタリング(線量測定)も行っていくし、漁場が守られるよう適切に対処するつもりである。
Q:何故、原発には存在する濃度規制(1回の排出における排出物中の放射性物質の濃度に限界を定めること)が、この施設には設定されていないのか?
A:原子力安全委員会に諮った結果、濃度規制は不要との答申があった。
Q:再処理施設による年間被爆は、他の原発に較べると5倍から7倍程度になる。これはいかがなものか。
A:どちらにしろ、国の基準値を大幅に下回る数値である。
Q:海洋に排出された放射性物質は太平洋全体に拡散して希釈されるから安全だとされているが、親潮によって三陸沖に留まるのではないかという意見もある。少なくともホタテ貝の稚貝はそのようにして三陸の漁場にやってくる。これは知っているか?
A:ホタテ貝については知っている。
Q:再処理施設が稼働すると、三陸の海藻に微量のプルトニウムが付着するとされている。プルトニウムの毒性は史上最悪とも言われるが、となると、どんなに微量でも風評被害は甚大なのではないか?
(註:プルトニウムの毒性については川田議員の事実誤認のようで、そのような際だった毒性は無いとされています)
A:医学的には問題ないレベルの放射線量だと認識しているが、風評対策については非常に重要なものと受け止めている。
Q:国の原子力関連の安全管理は内閣府と経済産業省が担当しているが、これは環境省がやるべきではないか?
A:各省庁の役割分担で適切に管理されていると考えている。
Q:ドイツやスウェーデンでは環境省が原子力の安全性をチェックしている。日本のように推進も規制も同じ役所では、説明責任が果たせないのではないか?
A:その問題意識は我々も持っているが、各国の歴史的事情もあるので、ひとくくりには出来ないと思う。
・・・・私としては、こういった形でこの問題が国政の場で議論されることは非常に良いことだと考えます。濃度規制の問題については、原子力安全委員会での議論の経緯も知りたいところですね。