小平市の住民投票について。

 最初に書いておきますが、私は当該の都道建設を強く望む者です。問題は自動車交通だけではないのです。自転車でも甲州街道沿線から中央線、玉川上水を越えて所沢や小平に行くルートは府中街道以外にはめぼしいルートが無いですし、その府中街道は道幅も路肩も狭い上に舗装が波打っていたりタテ段差があったりして、私でさえ油断すると転倒しそうになる(当然、転べばかなりの確率で轢死出来ます)のですから。

 さて、哲学者の國分功一郎さんが理論的指導者として展開した今回の住民投票運動ですが、問題点は三つです。

1:「住民参加による計画の見直し」の是非を問うという建前で行われた住民投票ですが、住民投票を推進した側は明らかに計画の撤回を目指していました。ならば最初から「計画の実施」の是非を問うべきだったと思います。國分氏がマスメディアに語る建前では「これは反対運動ではなく、住民参加による計画の見直しの是非を問うものだ」と主張した一方、運動そのものは明らかに反対運動で、私には詭弁を弄しているように感じられました。また小平市民にとっても、意味がわかりづらい(もともと投票結果の政治的拘束力はゼロですし)ものになって、結果的に投票数が伸び悩んだのではないでしょうか。

2:住民投票を進めたグループは繰り返し、直近の市長選の投票率37.28%と低いので現市長の政治権力の正当性には疑問符が付くと主張していました。ですが、法に則って行われ、成立した選挙ですし、過去の市長選を見ても平成5年以降は40%を切る投票率が常態化しており、平成9年などは27.55%です。いくら自分たちと異なる政治的意見の持ち主だからとはいえ、突然、選挙の投票率を持ち出して個人攻撃をするのはアンフェアでした。

3:東京都も小平市も住民の意見を聞く催しを行っています。道路の設計についての希望であれば、そうした場で建設的な話し合いが出来たはずです。独自の設計案を提示することも出来たと思います。白紙撤回だけを目指してしまったという戦略面の稚拙さが目立ちます。

 当該の道路ですが、自転車乗りとしてはなるべく立派な街路樹を植えていただいて、夏は木陰を快適に走っていきたいというのが希望です。もちろん路駐など発生しないような設計が理想です。玉川上水沿いの緑地と街路樹を上手に繋げることで、人にも動植物にもそれなりに快適な空間が作れると思うので、設計担当の方々には知恵を尽くしていただきたいと思います。