今日は百村にあるサンダンス・ウッドワークスさんに行って来ました。昨年秋に発注した息子の机についての打ち合わせです。
ことの始まりは、私が高校~学部生時代に使っていた座卓。これは私の実家に昔から落ちていたものなんですが、よく見ると天板はケヤキの一枚板を3枚接いである、今時贅沢なもの。でも50年以上も使ってきてかなりくたびれているし、天板の高さも若干低い(昔は体格小さかったからねえ)。
これを何とか再生出来ないかってことで、サンダンス・ウッドワークスさんに天板を持ち込んだのが昨年秋です。サンダンス・ウッドワークスさんは福井大学工学部を卒業した佐野さんと橋本さんという二人の職人さんがやっている工房なんですが、その誠実な仕事ぶりが評価されているのか、この不況下でも仕事の発注が沢山入っておられるようで、数ヶ月待ってようやく年明けから私の順番が回って来たというわけですね。
リフォームのプランは橋本さんに一任してあったんですが、橋本さんが出してきたのは「天板は塗装を一旦はがして、更に接ぎ合わせも外した上で(少しハガレが出ていたので)、削り合わせをして接ぎ合わせと再塗装を行う」「脚はストックしてあるケヤキ材を使って新作」というプラン。脚のデザインは佐野さんが留学しておられたイングランドのアンティーク家具風の反りが入ったものと、軽くテーパーをかけたものの2種類が来ましたが、息子の暴れっぷりを考えるとどちらも強度的に不安があったので、とにかく丈夫なものをとお願いして、飾り気の無いストレートな太めの脚ということになりました。
それでですね。その脚に使うという材が工房の中にごろっと置いてあったんですが、これが30センチ四方はあろうかという極太のケヤキの古材。古民家に使われていたものを入手されたそうで、木口の加工がそのまんま残っている風格満点のものですよ。この古材から脚を削りだしていただけるそうです。こんな立派なケヤキの角材、今、製材されたばかりのものを市場で買ったら10万円くらいするんじゃないですかね。ケヤキって暴れる(切ってから落ち着くまでにかなり変形がある)材ですけど、天板も脚も古材を使うんで、その辺もまあ安心。
これで税込み10万円。や、安い! だって合板にメラミン塗装の木目調プリント突き板を張ったいわゆる学習机が5万円とか6万円ですよ。あのトホホなデザインの。それで、ケヤキの古材を使って職人さんが組み上げた1点ものの机が10万。パッと見では前者の方が安いですけど、学習机なんかデザインが最初から終わってますから、せいぜい使っても15年。後者は50年でも100年でも使えますよ。材が良いしデザインも陳腐化しないし作りも良いから。
発注した時には、こんな美味しいことになるとは想像もしてませんでした。ただ、「この天板は捨てるにはもったいないから、息子が一生使えるようなしっかりした机に再生したいんだけど」と相談しただけで、こんな素敵なプランが出てきた。日本はすごいですよ。こういう仕事をする職人さんが普通にまだ沢山いらっしゃるんですからね。