「ああ、永井君たちの」、と饅頭屋のオヤジは言った

 余談です。アウトリガー・カヌー体験をした帰り、「生まれ変わったら俺は饅頭になりたい」と公言する饅頭ラブの友人が「紀の国屋」という饅頭屋さんの「女夫まんじゅう」を買いに、夕暮れの仲見世商店街をダッシュしていきました。何とか閉店前のお店に走り込み、最後の一箱をゲットしたわけですが、その際に店のおやじさんと少し雑談をしたのです。

「今日はお参り?」
「カヌー漕ぎに来ました」
「ああ、俺もね、今新しいの造ってもらってんだ。」
「シーカヤックですか?」
「そうそう。本当は俺はヨット乗りなんだけど、シーカヤックでそこらの海を漕ぐのも良いかなと思って。だって楽しそうだろ。やっぱスポーツは楽しくなくちゃ駄目なんだよ」
「私たちは今日はアウトリガー・カヌーに乗りに来たんですよ」
「ああ、永井君たちの」

 さすがは江ノ島。饅頭屋のおやじさんがヨットマンでシーカヤック建造中で、さらにアウトリガー・カヌー乗りとも顔見知りとは・・・・・深い。江ノ島のマリンスポーツ文化の根っこは深いです。

 ちなみにこれは、アウトリガー・カヌーを漕いでいてもわかるんですよ。境川を漕ぎ上がっていると、両岸から次々に永井さんに声がかかる。カヌーが出航する浜は立地の関係で江ノ島の西側のゴミが大量に漂着するのですが、クラブの方々がゴミを拾って片付けているんですね。ゴミ袋に入れられたゴミの山が、浜辺の一角で回収されるのを待っておりました。

 そうやって地域社会に広く深く根ざした活動をしておられるから、饅頭屋のおやじさんが一発で、「ああ、永井君たちのね」と言い当てたんでしょう。

 これこそスポーツクラブのあるべき姿ではないでしょうか。ちなみに我が家の近所には名だたるゴルフクラブがいくつもありますが、そういう所の会員さんが我が地域社会に何か貢献しているという話は聞いたことありません(サッカークラブの東京ベルディ1969はキッズ向けのクラスなど開講してそれなりにやっているらしいです)。

 将来、湘南アウトリガー・カヌー・クラブ江ノ島は江ノ島の宝となることでしょう。