青山蜂は特定遊興飲食店じゃないんだというこの方の説が何故か検証もなく拡散しているんですが、ウェブ上の情報を浚っただけでも、去年8月13日午前5時23分の青山蜂の様子として、テーブルと椅子とDJブースがあるダンスフロアで踊る人たちがいっぱい写ってたりするので↓
(こちらのスクショです)
青山蜂は特定遊興飲食店じゃないから警察のガサ入れは誤爆だというのは、我々が存在しているのとは別の世界線にあるアナザーワールドでしか成立しないんじゃないかなあと思います。
それまで規制されていなかったのに2015年の風営法改正で規制されたという勘違いも横行していますが、そもそも2015年改正以前は午前0時超えのディスコ営業はどこでも禁止で、それをクラブと呼び替えでもダメなものはダメだったのを、警察が来るまではやっちゃえやっちゃえでやってただけなんですよね。
それが2015年改正で法の枠組みの中に、朝まで営業出来るディスコをやっと新設出来た。まずはその枠の中で信用を貯金してから枠を広げる(許可要件を緩和してもらう)のが真っ当なビジネスパーソンのやり方だと思います。
零細企業の社長で「行政の言うことをまともに受け取ったらダメ」「担当者によって解釈が変わるから上手く誤魔化せ」「バレて指導が入るまではやっとけ」という人、私の知る範囲では本っ当に多いですが、私はもう金輪際そういう社長とは関わりたくないです仕事では。たしかにちょこっとカネは入ってくるかもしれないけど、トワイライトゾーンの商売ってやってる自分が惨めになってくるから。カネの価値しか信じない人、カネさえあれば他の価値は要らないと心から思って生きている人は別だけど。
なお、私が出来る範囲で調べてみたところでの私の解釈(最後は私でも弁護士でも法学研究者でもNOONの経営者氏でもなく裁判官が決めることですが)
Q1) 青山蜂は特定遊興飲食店に該当しない営業形態なの?→A1:ダウト。全フロアにDJブース常設です。機材一覧が店のウェブサイトに出てるくらい。午前0時過ぎて店開けてて捕まったので特定遊興飲食店許可必須と思います。Q2) 関西のクラブが最高裁まで争って勝ったからクラブ営業に風営法の営業許可は要らないんじゃないの?
→A2: 判決文を読むと、現代日本の一般的な「クラブ」の中身とはかなり異なるシチュエーションを検討した結果、そのシチュエーションなら風営法の対象ではないとされた感じです。具体的には・ガサ入れは午後10時台だった(青山蜂は午前2時台にガサ入れでした)。つまり深夜営業案件ではない。そもそも。・かかっていたのはブリティッシュ・ロック。オアシスとかレディオヘッドとかアークティック・モンキーズでしょうか。はたまたディープ・パープルかT-REXか。いずれにせよテクノやEDMやラップなどいわゆる「ダンス・ミュージック」ではないです。・結構空いていた。客と客の距離は近くて30cmとあります。このシチュエーションだとさすがに性風俗紊乱の場にはならんでしょう。だからセーフだった。なので、ド深夜にEDM流して女性入場無料の激混みの店内でナンパがあちこちで・・・というような店まで、この判例を根拠に風営法は関係無いと信じて商売展開しちゃうのはリスキーですね。最高裁まで裁判で勝負する費用もバカにならないですし、店開けられなくなったら運転資金ショートでジ・エンドです。素直に行政とやり取りしながら然るべき許可を受けた方が安全です。むしろ何故わざわざライセンスを取らないでやりたがるのと思います。Q3) 青山蜂のある場所で取れる営業許可は何?→A3:風営法で保全対象施設である学校から至近距離にあるので、風俗営業の許可は取れません。すなわち低照度飲食店(10ルクス未満の真っ暗な店内で踊らす業態、深夜営業不可)、深夜遊興飲食店(10ルクス以上の明るさのある店内で酒出して朝まで踊らす業態)、深夜酒類提供飲食店(食い物メインではなく酒メインで午前0時超え営業する業態)は全部ダメ。風営法の二条を厳密に適用すると、午前0時には閉店するダンスフロア無しの飲食店でないとダメなのではないでしょうか。どうですかブラザーたち。
グーグル・マップさんより。何でこんなとこでクラブ開業したのか、何で今までアゲられなかったのか、色々と不思議。関係無いですがゼンリンに就職した教え子は本当に素晴らしい学生でした。