多摩川についての沈黙が求められている

 それにしても最近の自転車ブームはただごとではないですね。次から次へと雑誌やらムックやらが出版されてますし、得体の知れない「経済評論家」をはじめとして、多くの著名人が「自分もローディーです」宣言をしています。また、さすがに多摩丘陵地帯では見かけませんけれども、都心の方では相変わらずノーブレーキピストもチョロチョロ走り回っています。

 

 それが自転車に良いのか悪いのかと言えば、自転車産業にとっては嬉しい状況でしょう。ですが、マスコミに対してはちょっと言いたいことがあります。

 

もうそろそろ、多摩川サイクリングロードを「初心者におすすめのコース」として紹介するのは止めなさい。

 

 多摩川のローカルとしてはっきり言いますが、もはや休日の多摩川サイクリングロード(のうちガス橋と関戸橋の間)は自転車が走るべき場所ではありません。今やあの狭い狭い道に大量の歩行者とジョガーと自転車が殺到して、イモ洗い状態になっています。しかも、緊張感ゼロの歩行者やジョガー(いきなり路上で止まる・いきなり斜行する・左右確認せずにサイクリングロードに入ってくる)と、マナーに欠ける自転車(携帯電話をいじりながら走る・漫画雑誌を読みながら走る・ヘッドフォンを付けた状態で走る・2台以上で併走する・対向する自転車にブレーキを使わせるような強引な追い越しをする・歩行者の横を減速せずにすり抜ける)が少なからず居て、事故が多発しているのです。

 

 もちろん、この危険きわまりない状態の大きな原因になっているのが、自分の家の中と同じノリで唐突な挙動を繰り返す歩行者たちであり、また自転車が軽車両であることを理解していないママチャリ乗りたちであることに疑いはありません。ですが、スポーツ自転車の中にもマナーの悪い乗り方をしている者は多いです。

 

 私はもう長い間、関戸橋より下流の多摩川サイクリングロードを走っていません。危ないし、走っても何も楽しくないし、大して運動にもならないからです。

 

 多摩・武蔵野地域には、現在の多摩川サイクリングロードよりも遙かに楽しく、また安全に走れるコースが沢山あります。雑誌業界の人々は今後、そういったコースを丹念に調べて紹介していくべきだと思います。ただし、ローカルが楽しんでいるコースを把握するのは簡単なことではありません。