誰が里山を殺すのか

 八王子市で建設が計画されていたサバイバルゲーム場が、住民の猛反発で建設中止に追い込まれたとのことです。

 里山を保全しつつキャッシュフローを構築するという点では、かなり良いアイデアだと思って見ていたんですがね。残念ですねえ。反対運動のリーダーさんは「すぐ近くで大人が戦争ゲームに興じている環境は、子供たちの健全育成に大きな支障をきたす」「周辺の子供たちに『銃は面白いもの』という認識を与えかねない」などとおっしゃったそうですが。

 南山でもたまにサバイバルゲームをしている人を見かけましたし、私自身、25年くらい前にはサバイバルゲームに熱中していた時期もあります。そういう経験を踏まえて言えば、反対運動をされた方々のご意見は極めて短絡的な発想だと思います。というのはですね、サバイバルゲームって弾の命中判定が「命中した側」の自己申告制なんですよ。誰も見ていなくても、誰も気づいていなくても、当たったと思ったら「当たりました」と申告してゲームから離脱しなければいけません。

 こんな紳士的なゲームって他にあり得ないですよ。規範に対する倫理観の厳しさという点ではサッカーなんかより遙かに高潔とさえ言える。サッカーなんか自分がハンドしたって、審判に取られなければ「ハンドしました」って言わないでしょ。サバイバルゲームをしておられる方々と話をしてみても、皆さん本当にマナーに気を遣っていらっしゃいます。私がサバイバルゲームをしていた時代とは全然違う。息子が中学生になったら一緒にサバイバルゲームをやってフェアプレーの精神を教えても良いくらいです。

 私も子育てしていますが、近所にサバイバルゲーム場があることよりも「ドラゴンボール」をはじめとする暴力漫画や暴力テレビゲームが小さい子供の周囲に当たり前に氾濫していることの方が、遙かに恐ろしいです。テレビアニメで安心して子供と見られるのって「ぜんまいざむらい」と「ケロロ軍曹」くらいですから。ええ。

 それにしても。里山の最大の敵は、ある種の「市民」なんじゃないかと、そんな気分がしてくる今日この頃です。サバイバルゲーム場は駄目。緑地率18%・緑被率50%・管理区域を設けた里山都市公園付きの区画整理事業も駄目。それで自分は里山保全にビタ一文出す気が無い人が一番声がデカかったりもしますからねたまに(八王子市の一件がどうなのかは知りませんが)。里山っつったって地権者がいて、最低でも固定資産税、場合によっては都市計画税も付けて毎年何十万円も納税してるのに、その土地を何か工夫して利用しようとすると大騒ぎする。じゃああんたがカネ出して里山買ってくれるのかといえば、聞こえないふりをする。「たかり市民」だってばそれじゃあ。