高橋克典さんの番組を見て、改めて地球環境を労ってやらねばと痛感しました。幸いにして京都議定書は間もなく発効しますが、我が国の温暖化ガス排出量は平成大不況の終わりとともに鰻上り。米国の議定書離脱や中国の経済発展もあり、あまり見通しは良好ではありませんね。ところがナイノアは「ホクレア号が行く」の最後に、希望に満ちあふれた言葉を記しています。我々が考えているよりも劇的な事態の変化があるかもしれないと。
これは一体どういうことでしょうか。単なる底抜けの楽天家なのでしょうか。
私はそうは思いません。たしかに今はお先真っ暗です。ですが、社会は時間的には連続していますけれども、ある時突然まったく世界が変わってしまうというような変わり方をする事があるからです。これは自然科学におけるカオス研究から出てきた考え方で、社会の状態は非線形の変化を見せる、つまり連続的な変化ではなく、ある瞬間に全く違う状態にジャンプしてしまうというモデルです。ネット社会の到来がそうでしたよね。WWWそのものはかなり前からありましたが、世界にある程度インターネット接続インフラと安価な接続機器が行き渡った所で、まさにあっという間に社会がネット化してしまいました。その少し前には移動体通信機器の爆発的な普及とケータイ社会の到来。とんねるずがNTTパーソナルのCMに出ていた頃、こんな世の中は想像出来ませんでした。
このように、物理的な変化の蓄積がある閾値を超えた瞬間、それらの物質によって構成されている系の状態そのものがドーンと変わる事を相転移と言います。このような相転移がいつ起こるのか、どのようにして起こるのかは、「その時にならないとわからない。」これもまたカオス研究、複雑系研究が到達した結論です。(この項つづく)