「クラブ」営業問題と里山紛争がこれだけ似ていると

渋谷4丁目にあった「クラブ」、青山蜂の経営者が逮捕されてそろそろ一週間。
 
私は非常に強い興味を持って経緯を見ています。
 
自分がやっていた地域社会学の視点で見た時、大変興味深い。
 
以前に私は「となりのトトロ」以降のファンタジーな里山が消費の対象となり、もともとの里山利用者(先祖代々地域で農用林として山林を利用維持管理していた人たち)の子孫との間での紛争について論文を書いたことがあります。
 
それに非常に似ている。「クラブ」紛争が。
 
・どちらも「守れ」と騒ぐのは入り込み客サイドです。
・法律的に不利なのは「守れ」と主張する側です。
・その空間を現状のまま残すメリットが地域側に乏しいです(場合によってはデメリットが大きいです)。
・「守れ」と騒ぐ人の99%以上は匿名で騒ぐだけです。しかも一時の熱気が去ると忘れます。
 
要するに消費者なんですよ。騒ぐ側は。
 
クラムボンというバンドの何とかさんとか、水曜日のカンパネラというバンドのシンガー女史とか、ちょこっとネットに愚痴を書くけど、それだけでしょう。PVハネてごちそうさまでしたくらいのもんで、こう言ってはなんですが結果的に便乗でプロモーションしちゃったというような状態。そういう視点で見ると彼・彼女はビジネスパーソンとしてはクレバーなムーブを見せたけど、どうもそこまでみたいです。
 
では消費者や便乗ビジネスパーソンというゾーンを踏み出して何が出来うるのでしょうか。
 
「何を目的とするのか(短期的目標)」「どんな社会を作りたいのか(長期的目標)」に分けて考える必要があります。
 
何を目的とするのか。
 
「青山蜂」を今の場所で以前と同じようにクラブ営業させること? それには法改正か条例改正が必要になります。あるいは構造改革特別区域の設定。渋谷区長や都議や国会議員にロビイングを続ける。その間、今の場所にある「青山蜂」は現行法を遵守した営業で維持する。お客さんとして店を支えつつ(つまり「クラブ」ではない、深夜に踊れる場ではなくなった「青山蜂」にみんなで通ってお金を使い続けるということ)、署名や懇談会を粘り強く続けて立法を動かす。
 
どんな社会を作りたいのか?
 
現行法に不満があるなら、やはりロビイングです。それしかありません(逮捕覚悟で不許可のままクラブを展開して裁判で決着付けるという手もありますが、社会からの印象悪くして立場が削れるだけ)。こういう文言の条文に改正した方が日本社会全体の得になるんですよというロジックを組み、それを裏付けるデータを集めて発信し続ける。俺たちの得になる、だけではダメです。少なくともそれが他の市民の損にならないことを示さないと。例えばクラブがこれだけ増えると地域の税収がこれだけ増えるし、一方でクラブ周辺の街が汚れるとか治安が悪化する(暴力、性暴力、薬物、淫行など)というデータはこれだけなので、差し引きでもお得じゃないですか、という話を準備する。
 
それが出来なければ、皆さんは結局はタダの消費者でしかなかったということ。お金出して自分の気に入るものを買っていたのが、規制が変わってディスコンになって、愚痴は言うけどそれ以上のことはしない。「青山蜂」ファンの大半はクリエイターではなかったし思っていたよりクリエイティブな人でもなかったという現実が通過する間、目をそらしてタバコでも吸ってやり過ごして下さい。それで人生無難に続きます。何の問題もありません。
アンダーグラウンドで違法営業で頑張る、というのはダメですよ。自ら「クラブ文化には遵法精神無しです」と認めるようなもので、永遠に日陰者ルートです。ダメ、絶対。
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(こういうの、好きな人は好きなのわかります)

個人的お薦めは「青山蜂」というブランドを商標で押さえて、アパレルや雑貨にも展開して売上を作りつつ、特定遊興の許可が出るエリアに新しく店を作るという戦略です。クラブ営業が出来なくなった店に今までのお客さんが同じように通ってくれるというのは多分無いので、別の形でお金を落としやすくする。製造費はクラウドファンディングでロットまとめてから調達する形にして、無論、クラムボンさんと水曜日のカンパネラさんにはSNSでフル回転で宣伝してもらう。
 
行けると思うよ。これ。