佐藤・山田症候群

佐藤・山田症候群(サトー・ヤマダ・シンドローム/Sato-Yamada Syndrome あるいは佐藤・山田病/Satos’ and Yamadas’ Disease)とは、2000年代の日本で発見された疾患である。発見者2名の名前から名付けられた。専門家間では「さとやま病」とも呼ばれる。

■症状

国、自治体、自治体の首長、不動産開発業者への著しい攻撃性を最大の特徴とし、自宅周辺にある民有地の山林の税金による公有地化を求めて署名活動、チラシ配布等をはじめる。ウェブサイト開設やアースデイ等エコイベントへの積極的なブース出展も多く見られる特徴である。

悪性の場合、自治体を相手取った訴訟を始めることもあるが、この際に「自然の権利訴訟」を謳ってタヌキ等、原告適格の無い野生動物を原告に加えるという奇妙な行動も見られる(「生田の森自然の権利訴訟」など)。これは本疾患の発症に伴う法律分野での認知能力の減退(後述)と関係があるのではないかと考えられている。

■特徴

好発年齢は40代から60代だが、早ければ10代後半で発症する場合も。数十人から100人程度で集団発生する。これまでに発生が確認された地域として、川崎市、つくば市、稲城市、名古屋市などがある。

東京や名古屋など100万人単位の巨大都市圏の郊外地域に特に集中して見られる点が研究者の注目を集めているが、何故このような地域に本疾患がまとまって現れるのかは、現時点では不明である。

対人関係や経済、法律分野における認知能力の減退も顕著な特徴で、自身の見解に批判的な者には「業者の関係者か?」「必死だなwww」などの言葉を浴びせるようになる。この他、公有地と民有地の弁別に深刻な困難をきたすことも多い。公的財源の規模や余力、各種の国内法を無視した政策提言も盛んに行う。

インターネット上での発言は匿名を好み、しばしば論敵を揶揄するような使い捨てのハンドルネーム(「南山どうぶつ組合」等)を使用するが、自身の見解に反する意見を述べる論者に対しては匿名での発言を批判し、実名の公開を要求するという行動も見られる。

■原因

原因は現在のところ不明であるが、集団発生すること、発生後、患者集団が一定の規模に達するまで罹患者が増える現象が見られることから、感染症である疑いが強い。インターネットを介しての感染ではないかと疑われる事例もあり、これまでに知られていない極めて特殊な形態の病原体ではないかという声もある。

■経過

発症後、急激に症状は悪化し、先に述べた各種の行動に参加するようになる。1年から2年間の劇症期の後、顕著な活動が見られない安定期に入り、徐々に寛解期に向かう。

一般に予後は悪くなく、自宅近隣の山林の消滅に従って症状固定あるいは自然治癒という経過を辿る。重症化した場合、社会生活に若干の困難をきたす場合もあるが、死亡例はこれまでのところ報告されていない。

■治療

現時点では付ける薬は開発されていない。なるべく患者に接触せず、放置して様子を見るのが最善の処置とされる。ごく稀に、山林の公有地化が実現して症状が寛解する幸運な例もある。

発見されて日が浅いこと、治療するよりも放置による自然治癒を待った方が早いことから、専門医は存在しない。しかしながら、行政を相手取った訴訟を開始したり工事を直接的に妨害したりという段階まで進むと、各種の社会的なコスト増を引き起こすので、積極的な治療方法の研究を望む意見もある。

■関連文献

Francisco Sato, Diego Yamada, et.al., "The first report of the syndrome about sub-urban forestry", Social Science and Medicine, Volume 53. Issue 1 (2001), pp152-156.

Ken Fujiwara, Aiko Okada, Masashi Arai, et.al., "Similarity and difference between SYD and Chewni’s Disease", The Review for Social Psychiatry in Japan, Volume 26, Issue 7 (2003), pp1652-1667.

H.Miyasaki, I.Takahata and M.Imamori, "SYD and the invention of modern Satoyama concept in 1990s Japan", Socio-Medical, Volume112 (2004), pp56-77.