この半月ばかりの間、マスコミのマッチポンプ報道は目に余るものがありましたね。そう、朝青龍関を取り巻く騒ぎと柏崎原子力発電所の地震被害。前者などは相撲ではどうしても勝てないので、悔し紛れのあら探しとバッシングをやっているとしか思えませんし、彼がストレス性障害になった後も彼を追い詰める方向での報道スクラム・・・・。たしかに朝青龍関にも判断の甘さはありましたけど、客観的に見てより(というか遙かに)恥知らずなのは日本のマスコミでしょう。
もう一つ。柏崎原子力発電所に関する報道もどうかと思いました。そもそも変圧器なんか燃えたって放射性物質が漏れるわけないんだし(チェルノブイリなんかとは違って原子炉は格納容器の中に厳重に隔離されてるんだから)、自然界にある放射能に較べても屁の突っ張りにもならない程度の放射能が漏れたくらいで鬼の首でも取ったような大騒ぎですよ。そういう冷静さも科学的な視点も欠いた報道のお陰で新潟県の観光産業は大打撃。風評被害というやつですな。
どうなんですか、その辺。
こういうニュースもありました(中日新聞)。
「 【ウィーン17日共同】国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被害の出た東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を視察した専門家チームの報告書を公表、「目に見える深刻な損傷はなかった」と結論付けた。報告書は日本政府に提出された。
ただし長期的な運転を続けた場合、現時点で顕在化していない損傷が原発の一部に支障を与える可能性があると警告。東京電力や日本政府による検査などが続行中で、原子炉容器や炉心、燃料の詳細な調査など重要な作業が今後も行われる必要があるとした。また今回の教訓を生かした安全性の再評価が必要だと指摘した。
報告書は日本政府や東京電力が「オープンで協力的」だったと評価した上で原発の耐震対策が適正に機能し、原発が安全に停止したと指摘した。
「設計で考慮された震度レベルを上回っていたが、耐震構造が安全に機能した。原発は安全に停止し、被害は予想より軽微だった」などと説明した。」
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007081701001016.html
想定震度を大きく超える揺れでも最も重要な部分はビクともしなかったこの設計・建設技術の高さはどうよ。これは褒められて然るべきなんじゃないかと私は思うのですが。ちなみに世界的にも日本の原子力産業の安全技術は高く評価されていまして、二酸化炭素排出量削減が待ったなしとなっている中で、海外への技術供与が期待されているそうです(半年くらい前に経済誌で読んだだけですけど)。
原発が生理的に気にくわないという気持ちは私も解ります。ですが、この猛暑で皆さんが頼りにしているクーラーもその原発で作られた電気で動いている。将来的に原子力発電をどうするかはともかくとして、今現在その原発をこのように高いレベルの安全性を確保しつつ動かしておられる方々の社会貢献は正当に評価すべきだと私は思います。