遊び込まれる公園

 育児を本格的に開始して間もなく丸3年になります。その間、小さな子供たちがどんな公園を好むのか、公園は子供たちにどのように遊ばれるのかをず~っと観察してきました。その観察結果の一部、概ね1歳児と2歳児を対象としたものについては去年春に出た『多摩ニュータウン研究』に研究ノートとして発表したのですが、それ以降も観察はずっと続いています。

 最近、注目しているのは斜面緑地ですね。一番わかりやすいのは大丸公園にあるやつなんですが、3歳から5歳くらいの子供たちは、高低差5メートルで勾配20度くらいの斜面緑地が大好きなんです。ひたすらそういうところを上ったり下りたりしている。いや、よく考えたら私ら大人だってMTBでそういうところをブチ下りて喜んでいるんだから、同じなのか。

 でも、よ~く観察してみると、斜面緑地ならどこでも良いってわけでも無いんです。城山公園の斜面緑地なんか見向きもされないですから。幼児が集まる斜面の大事な条件は、おそらくこれです。

「親とアイコンタクト出来る斜面」

 身長1メートルそこそこの子供たちにしてみれば、高低差5メートルは自分の身長の5倍。私の体格で言えば高低差9メートルですよ。面白いけど怖い。怖いから面白い。だから親が見える場所、親が見ていてくれる場所でなければならない。

 ということは? 親が30分なり1時間なりを快適に過ごせるような空間が、幼児の遊び場としての斜面緑地に隣接して存在していなければならないということですね。私が知っているそういう斜面は、いずれも「親の居場所」がすぐ近くにある。ま、私なんかは子供たちと一緒に斜面上ったり下りたりしてますけどね。近所の子供たちが手を引っ張って私を連れて行くんで(笑)

 そうやって観察していると、子供たちの「遊び込む能力」には舌を巻きますよ。落ちているモノは何でもオモチャにして、自分たちの遊戯空間を活性化させていくんですから。新しいアイデアが出て、それが面白そうなら皆一気に飛びつく。そして遊び場がどんどん改造されていく。遊び込まれて日々変容し、進化していく。遊戯空間の面積も格段に広がりますしね。

 南山の公園デザインが決まるのはまだまだ先ですが、今私が目の当たりにしている子供たちの創造性は、まあほぼ例外無く公園設計が想定していない場所を、想定外の使い方で遊ぶ方向で発揮されていますから、普通にやったんじゃイマイチな公園になるでしょうね。山崎公園は地域住民のワークショップでデザインを決めたそうですし、稲城長沼駅南口に出来る公園のデザインには私も市民ワークショップで色々と注文付けてきましたけども、もっと本気で子供たちの遊び方を何十時間もかけて観察して分析して、その結果を落とし込んで設計していくべきでしょう。