「青山蜂」の経営者逮捕はやるべき仕事をしなかったことの帰結でしかないと

青山にある有名なクラブ「青山蜂」が法律上許されない時間帯の営業を続けていた(しかも警察の指導を2回も無視した)結果、経営者が逮捕された事件
いわゆるクラブ文化に関わる人たちからは、営業許可を取得出来るエリアの線引きが厳しすぎるとか、青山蜂はあの場所にあることに意味があるといったブーイングが出ています。
が、
「老舗だから」「ギョーカイ有名人たちが通った店だから」
という理由で、違法営業でもお目こぼししてやるべきだ、という論調が既に負けパターンのような気がします。
そんだけ凄い店ならクラウドファンディングサイトで何千万円か集めて、許可取得出来るエリアにさっさと移転したら良かったんです。この場所に意味があるとかいうのは仕事しない言い訳でしょ。グズりです。グズって違法状態解消する仕事を怠っていたら警察に捕まった。
そんだけじゃないの。
現代のビジネスパーソンとして、コンプライアンスへの取り組みが甘すぎた。
というかコンプライアンスを無視してしまった。
コンプライアンスに回すべき資金を回さなかった。
そんだけです。
経営者が逮捕されちゃったとなると、今から同じオーナーで移転してクラブの深夜営業許可を申請したとして、なかなか簡単には認めてもらえないのではないかとも思いますが。
※というか、営業停止処分があれば資金ショートで廃業になりそうですし、営業許可取り消しならやはり廃業ですわね。
別の視点から見ると、有名店に手入れが入ったということは、市場に隙間が生まれたということなので、他の人にとってはビジネスチャンスではないですか。
許可が取れる地域に出店して客を奪う。
そうやって切磋琢磨して業界が進歩していくのがビジネスです。
17:21 追記
この事例は里山開発紛争に似ていると思います。
それまでグレーゾーンで知る人ぞ知る遊び場だったのが、何かのきっかけで使えなくなってしまう。
グレーゾーンを良いことに調子に乗りすぎたという場合もあるでしょうし、社会の要請できっちり法律で白黒付ける必要が出てきてしまったということもある。
その時どうするべきか。
私はこれまでに稲城の南山の開発紛争、東京都の自然公園におけるMTB利用禁止問題の二つのケースでボランティアとして問題解決に取り組みました。どちらのケースでも、グレーゾーンの利用実態がそのまま認められるということは無く、行政や地権者が「ここは絶対にダメ」という線を引いたその外で、どの程度まで遊ばせてもらえるかという交渉でした。
いずれのケースでも最も重要だったのは、グレーゾーンの利用実態の全面的な合法化・容認を掲げる人たちを切り離すこと。こういう人たちははっきり言って邪魔なだけで、交渉において最も有害な存在でした。
その上で、法的に明らかに不利な中でどの程度まで遊び場を確保出来るかを話し合っていくわけですが、大事なのは行政側の担当者との信頼関係です。だいたい課長クラスですね、稲城市でも東京都でも。その人たちが、これだけは絶対に守ってくれということをまずは自分たちが守れるようにする。愛好家の自治組織を作り、自治ルールを作り、私たちは公序良俗と法を守る良き市民ですよということを理解してもらう。
そこまでやって、ようやく、じゃあどの範囲なら遊んで良いんですかという話が出来る。ここまでは大目に見て下さいよというお願いも出来る。
全ての前提になるのは信頼関係です。
今回のケースは、信頼関係を作る以前に法律を無視して警察の指導にも従わなかったわけなので、信頼度はゼロですよね現状。
そこから積み上げていくのは大変だと思いますよ。
現在の経営者は引退して、「青山蜂」というブランドだけ継承した新しい店を、別の人がちゃんと許可取れる場所に作り直すしか無いんじゃないでしょうかね。