シーニック・バイウェイ・ジャパンに望むこと

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 シーニック・バイウェイ・ジャパンの話を聞いて私が真っ先に思い出した場所があります。

 それが今日の画像。スイス国内です。ベルンからバーゼルに抜ける街道沿いの集落です。集落の名前は・・・・わからんとです。この辺を車で走っていて、日が暮れてきたんで適当に泊まったホテルが、この集落にあったんですが、本当に小さな集落で、よほど大きな地図でないと出ていないんじゃないかと思います。

 「シーニック・バイウェイ・ジャパン」。街道沿いの空間全体を観光資源にしよう、というそのコンセプトは素晴らしいと思っていますが、私が理想とするのは、こんな名もない美しい集落が幾つも幾つも連なっていて、こざっぱりとした民宿やホテルが点在している、そんな街道です。

 今、日本の国道を走ってみましょうか。一桁二桁ナンバーの幹線はもう2車線3車線が当たり前ですし、とにかく多くの車を早く流さなければいけませんから、もうこれはしょうがない。かつてその道が集落を縫って走っていたとしても、その旧道が残っていたとしても、空間は極太幹線とダンプの往来で完全に分断されてしまっています。

 それでは三桁ナンバーや二桁台後半の道はどうでしょう。それこそ昨日書いた、国道471号のような。こういう道はというと、比較的大きな街の前後は2車線化されていますけれども、殆どの区間は片側一車線で、昔からの集落の中を通っていきます。いくんだけど、昔ながらの街道をそのまま国道にしちゃったから、なんかこう、無理矢理狭い所に国道をネジ込んだ感が一杯。古い民家が連なるその軒先をかすめてダンプが走り去るみたいなね。歩行者のこととか何も考えずに道を造っちゃったから(昔は車なんか無かったからね)、車道の際に幅50センチくらいの空間が残してあって、子供やお年寄りがそこをおっかなびっくり歩いている。しかも電柱が立っているから、電柱を避ける所はさらに人間の歩ける空間が狭くなる。

 車の立場から見てみましょうか。そういう集落には、なかなか趣のある所もまだまだ多いです。ですが、ともかく集落の中は歩道が無いから、人間を轢かないように神経を集中させて、多少アクセルを緩めて、さっさと通り抜けなければいかん。あんまりゆっくり走ってると後ろからダンプが来て煽りますしねえ(田舎では良くある光景です)。

 車をちょっと止めて、集落を散歩して、気に入ったらそこで一晩泊まる。それが不可能なんす。まず車止める所が無く、散歩しようにも歩道が無く、泊まろうにも宿が無い。道の駅はだいたい集落から離れた所にありますしね。

 そこでこの写真を見てくださいな。なんかこう、「ちょっと寄ってけよ」という雰囲気があるでしょ。集落に差し掛かって「お、いいな」と感じてから、駐車スペースを発見して、ウィンカーを出しながら減速して止まれるような構造になっている。もちろん汚い看板なんか出ていない。

 こんな集落が連なる街道が日本にもあれば、是非走ってみたいですね。残念ながら北海道のシーニック・バイウェイでも、ここまでは行っていない印象がありますけれども、そんなに難しいことじゃないと思うんですよ。自分たちの街を「見られる」存在として意識して、軽くお化粧しておく。ちょっと立ち寄って、見ていってもらう場所として自分たちの街を整備する。「青色申告宣言の町」とか「納税は便利な口座振替で」とか、余計な看板を立てない。ね。