Art Outbound Digestの有料サブスクライバーが増え続けている
始めてから2年くらいは全くお金にならなかった(今だって決して他の仕事ほど時間単価が良いわけではない)Art Outbound Digestの有料サブスクライバーになってくださる方の増加が結構なペースになっていて、月間1000円弱のプランに何十人という方が登録しておられる事態となった。
正直驚いている。
何に驚いているのか。
まずは、こういう情報発信をする人がいままで日本語圏にいなかったことに、である。
おそらく現時点では他に代替のないサービスになっているのだろう。
もちろん、試しにというかんじで思い出したように国際公募の情報を有料noteにアップする人はいたし、応募書類の書き方などを指南しますという人もいる(私は書類の書き方指南はメニューには載せていません。アドバイスはしますが本来のビジネスコンサルタントとしてのアワーレートになるとEmerging Artistsに払えるものではないので)。そしてそういう方々のサブスク料金は私より格段に安い。
だが、そういうものでは物足りないからArt Outbound Digestにいらしているわけだ(私としては別にこれで稼ぐつもりもなければ、これで稼がなければ生計が成り立たないというものでもないので、積極的勧誘もしていない)。
片手間ではないからこそ選ばれているのではないかと思う
とはいえ、毎日平均で3件から4件の国際公募をチェックするということをもう3年くらいやっているので、目は肥えていると自負しているし、思い出したように紹介するような片手間仕事ではなく、コンスタントに情報を流す体制を堅持している。
さらに公募をご紹介するときにはちゃんと個別のpros and consも丁寧にご説明している。何でも取り敢えず応募しとけみたいな無責任なことは言わない。本当に好条件の国際公募には「ワンチャン」など無い。有無を言わせない実績と美麗なポートフォリオをビシッと並べた連中が応募しているのだから。
アーティストとしてのウェブマーケティングのベーシックをご紹介する記事はどうか。
こちらも思いつきではなく、国際的に知られたギャラリストやキュレーターの本やポッドキャストを時間をかけて咀嚼して、日本向けにローカライズしてエッセンスをご紹介している。これでも博士号があって査読論文も教歴もそれなりにあって卒論指導も何十人とやってきた人間なのだ。典拠は明示するのが基本なのである。
もう一つ、自分が心がけているのは、全ての情報をペイウォールの中には置かないということだ。公益性の高い公募と国内公募はペイウォール外で紹介している。また、世界のアートの情報の中でも美術手帖やTokyo Art Beatが扱わないようなもの(そして、日本から外国市場を狙うためには有益と判断出来るもの)もペイウォール外紹介だ。とにかく日本の才能あるアーティストたちが国内の業界ムラ政治でスタックして腐っていくのを防ぎたい。その一心である。
一言で言えば、カスタマーサクセスと公益性を基礎に置いてやっているということだ。
ちょっと前に流行った「スキルを生かした副業で小遣い稼ぎ」というあれとは全く違う。小遣い稼ぎなどという甘い考えでする仕事のクオリティは底辺に張り付くと思っている。私は有料noteの売上など確定申告の時以外は見てもいない。そんなものを見るより新しい公募情報を探しに行くのだ。それが何十人もの有料サブスクライバーを抱えてしまった人間の責任だ。
有料サブスクライバーの数は、そうしたビジネスとして当たり前の基本の積み重ねの結果なのだろうと思っている。