セレブリティアーティストが現代アートの芸術祭に招待されることの良し悪し

能年玲奈さんが六甲ミーツ・アートに招待枠で呼ばれたのは、他分野の有名人が編集者の一本釣りでいきなり文藝誌に短編デビューからの芥川賞ノミネートみたいなものではないかと思っています。水嶋ヒロのKAGEROUほど露骨な仕込みでもないし。まあ、よくあることです。日本では。

管見の限り、現代アートの芸術祭にセレブリティアーティストが招待アーティスト枠で呼ばれるというのは外国では見ない展開に思えますが、公募で選ばれた作家たちが能年玲奈さんの集客力に便乗出来ると思えばWINWINですよね。盛り上がって欲しいです。

celebrity artistsなんて呼ばれますが、アート作品を作って売ったり美術館やギャラリーで個展をやったりする芸能人はいっぱいいます。ブラッド・ピットやルーシー・リュー、ジョニ・ミッチェル、ジーン・シモンズ、シルベスター・スタローン。ジョニー・デップ。

日本だったら香取慎吾が有名っすね。工藤静香は二科会にも入っているくらいなんでセレブリティアーティストと呼ぶのはどうかなと思う部分もあります。

普通、セレブリティアーティストを現代アートの芸術祭に現代アーティストと同枠でキャスティングすることは無いと思いますが、日本の芸術祭は色々な意味で日本独特の慣習の塊なので・・・・・。

なお六甲ミーツ・アートのディレクターは昔からやってる高見澤清隆さんという地元の方。

セレブリティアーティストが現代アートの芸術祭に招待アーティスト枠で入ることをどう評価するかですが、私は「今現在の日本の状況」を前提に考えた場合、あまり驚かないですし、色々な意味で「しょうがない」かもしれないなあと思っています。

例えば「のん」さんが公募枠に人知れず応募したとしましょうか。

彼女の作品やCVを「今現在の日本で各地の芸術祭で審査員を受注している人たち」がフェアに評価するのか。

私は「何の問題もなく公正公平な評価による審査が行われる」とは思っていません。

セレブリティアーティストは「よそ者」だからです。

嫉妬や「よそ者」への自然な忌避感情などあれこれが水面下で蠢いて、ナチュラルにダウングレードされるんだろうなと思います。つまり落とされる。その気になれば落とす理由なんか秒で三つくらい出てくるものです。誰に対してもね。

そして「最近、あちこちの芸術祭で見かける名前」が「順当に」勝ち上がる。

こういうのは、もうね、しょうがないんですよ。人間そこまで上等に出来ていない。公正公平にやってるつもりでも身内度が高い人を勝たすもんです。世の中そういうもんなんです。どこの業界も。

だから能年玲奈/のんさんは日本にいる限りは永遠に「セレブリティアーティスト」枠でしかアートの場には居場所を与えてもらえないでしょう。

セレブリティアーティスト枠なら超ウェルカム。知名度抜群、ルックスは美人女優さんだから当然カンストレベル、ファンも山程いる。インスタフォロワー60万人超え。

彼女が非セレブリティ枠で活動したい、評価されたいと考えているかどうかは別にして。

そういうあれやこれやを考えると、六甲ミーツ・アートにセレブリティアーティストが呼ばれてたって「いつもの面々が呼ばれるかセレブリティアーティストが呼ばれるかの違いじゃないの?」という感想しか出てこないのです。

なお私は能年玲奈さん大好きです。彼女が「のん」としてブレイクした後、とあるパーティーでレプロの社員に「レプロの負け確定ですね」とお声掛けした程度には。