難破船アンビリーバブル号の財宝

ダミアン・ハーストの巨大な新作展が12月までヴェネチアで開催されているのですが、その会場の様子が面白いです。
 
個展のタイトルは「難破船アンビリーバブル号の財宝 “Treasures from the Wreck of the Unbelievable”」
 
解説によると、1世紀のギリシア人解放奴隷Cif Amotan II の集めた財宝を載せた船がアフリカ東岸の海底で発見され、ハーストが私財を投じてこれらを引き上げたものです、というのですが。
 
そして会場内では、ナショナルジオグラフィックTV風の財宝回収プロジェクトのビデオも流されているそうなのですが。
 
よく見るとその引き上げられた財宝とやらがコンボイ隊長(トランスフォーマー)だったりディズニーキャラだったり。
 
リンク先には「ヒドラと戦うカーリー」という彫像の画像もありまして、うっかりすると本物の古代ギリシア彫刻と信じてしまいそうになるのですが、ちょっと待て。カーリーってギリシア神話じゃないぞ。ヒンズー教の女神だぞ。
 
実はKaliというのはリナックスOSのバージョン名で、Hydraというセキュリティ診断ソフト(辞書DBにある文字列を毎分数千回入力してパスワード認証を突破する動作をします)がバンドルされているものです。つまりこれは・・・・。
 
会場内で最大の展示物は高さ18m超の「ボウルを持った悪魔”Demon with Bowl”」という巨像なのですが、これもよく見ると右手が阿弥陀如来の来迎印、左手に持っているのは薬師如来の薬壺。。。
 
ハーストはこの個展の準備に10年かけたそうですが、その開催がちょうどSNSのフェイクニュースが問題になった年に当たるとは、よくよく憑いている人です。
 
日本に持ってこれるんだろうか。18メートルの巨大ブッダを置く場所が・・・横浜美術館でギリギリ・・・・無理か。
 
2019/1/8追記
上記デモン像(正確には会場に展示されたレジン製の元になったブロンズ製)は1400万ドルでラスベガスのカジノに売却されたそうです。
詳しくはこちら
A Woman Crashed Her Rolls-Royce into M. Damien Hirst Statue Belonging to Mega-Collectors
The statue was part of the artist's exhibition at the Venice Biennale in 2017.