ガイアの夜明け・ハンドメード市場特集を見て感じた疑問

この番組、録画しといたのを昨日見たのです。

「シリーズ 働き方が変わる 第10弾 "得意"で稼ぐ」

 最近は試作品をアウトレットでいっぱいウェブショップに出しているし、オーダーも色々来るようになっているので(バックオーダーが結構あって嬉しいけどプレッシャー)、かなりこの市場に自分が接近している自覚がありました。

今、ハンドメード市場が急拡大している。手作りの作品を個人間で売買できるサイト 「ミンネ」は会員数55万人と業界大手。出品数は約100万点で、この1年で倍増したという。出品者の中にはファンが付いて、月数十万円から100万円稼ぐ人もいるという。

 番組に出てきたのは2パターンの主婦です。

 一人は固定ファンを持つスマホケース作家。月あたり5万円程度の売上(利益にあらず)、年に2回のイベントでは30万程度の売上(利益にあらず)。それから、軽いヒット商品(通算で400個程度売れたストラップ)を考えた主婦。

 そして、そういう作家を目指して新規参入すべく講習会に通う主婦たち。

 まず第一のグループですが、やはりこれは主婦の小遣い稼ぎの枠内での動きという印象が強いです。5×12+30+30=120で、見事に扶養家族の枠内。多分、会計の帳簿付けてない。もしかしたら所得税の申告もしてないかも(テレビ見た税務署から電話かかってたりして)。

 それからヒット商品を考えた主婦は、さっそく手芸店チェーンからキット化のオファーが届いて喜んでおられましたが、ちゃんと知的財産権管理してるんでしょうか。キットが店頭に並べば自分の直販市場とカニバリゼーション起こして自分の売上や利益は下がるのだから、それを計算してもまだ儲けが出るような内容でなければキット化は断るべきと思ったんですけど。

 全体として見ると、この市場は扶養家族の枠の範囲内で月商5-10万をコンスタントに上げるトップレベル作家層が上の方におり(おそらく全体の1割もないと思いますが)、その下にはこうした作家に憧れる入門者が大量にうごめいているのだと思います。

 トップ作家は自分の得意パターン(製作効率が高く、明確な見た目の特徴がある)を持っていて、固定ファンも掴んでいるのではないかと予想します。宣伝手段がほとんど無い市場なので、リピーターがいないとなかなかコンスタントには売れないでしょう。

 また、入門者層はビジネスというよりは、消費行動としてこの市場を担っていると思います。講習会や入門書や入門キットの売上に貢献しつつ、たまに何か売れて満足感も味わえる。

 この市場で最も儲けるのは、プラットフォームを提供する事業者です。GMOペパボが利益の大半をミンネのサービス拡充に突っ込んでいるという話も出てきました。

 さて、長々と分析してきましたが、では私はこの市場とどう関わるか。

 可能な限り関わりたくないというのが断固たる結論です。ここはヤバい。だってこんな本革のトートバッグを7980円で売られたら勝負にならないですよ。中国製より安いくらいだもん。

 これはやはり扶養家族という仕組みがあってこその世界。

 バッグの製造販売で年商1000万が私の目標なんですが、この数字はハンドクラフトバッグでは無理です。日商4万円くらいのものを毎日作り続けるって、考えなくても不可能だってわかる。工場生産という仕組みを使わないと。

 改めて考えてみるに、弊社の強みは「機能性を掘り下げてデザイン出来る」ところであって、「女子力の高いベーシックデザインのハンドクラフトを丁寧に仕上げて原価割れで売れる」とこにはないわけですから、

「他に無い機能的なデザインを小ロットで生産して売る」

 この戦略を追求するしかないという、これまで考えてきたことを再確認する結果となったのでした。

追記:この投稿を見たアパレル業界の友人が「加藤さん、あんな(ハンドクラフトマーケットプレイス)のはネズミ講まがいのビジネスごっこだよ。関わっちゃダメだ。今度セレクトショップ紹介するから。」と早速メッセージくれました(笑)