「見て憶えろ」「習うより慣れろ」で新人を育成すると離職率が上がることに気づいていない管理職や経営者はもう要らない

OJTは重要な人材育成手法の一つだけれども、「見て憶えろ」「習うより慣れろ」で現場に放り出して、それで上手くこなせるようにならなかったら「あいつは使えない」というノリでやっている職場は、ダメな職場だと考えました。

気合があれば何でも出来ると思っている人たちは、こういう主張を見ると

「甘えんな」「給料もらってんだろ」「ゆとりっw」

というコメントを早速匿名で書き込みたくなりがちですが、「見て憶えろ」「習うより慣れろ」は効率という点で見ればダメなやり方です。懇切丁寧なマニュアルがあり、その内容を身につけさせる適切な指導法が全社で共有されている方が、利益率は上がると思います。

何故ならば、「見て憶えろ」「習うより慣れろ」環境下に置かれた学習者はかなりのストレスに晒されるため、良いコンディションで学び、働くことが出来ませんし、学習ストレスが大きくなればそれは離職に繋がるからです。

「仕事教えてくれないし、人によって言うこと違うし!」

それで離職してしまえば、採用と研修にかけたコストは無駄になります。それだけでなく、十分なスキルを身につける以前の状態のワーカーと接するカスタマー(インナーカスタマーを含む)にとっては、未熟なまま放り出されている担当者とのやり取りは機会コストの損失です。

時間が浪費されるってことね。

では、「見て憶えろ」「習うより慣れろ」育成で得しているのは誰か?

・・・・・・・・・・・・・・敢えて言うならば、教えないことで新人とのスキル差を長期間維持出来る先輩諸氏でしょうかね。

しかしながら経営者視点で見れば、非効率を放置するよりも業務を標準化し、必要最低限のスキルセットは社員ならば速やかに、最短期間で獲得出来る研修システムを整備した方がよろしかろうと思います。スキルが属人的になっていると、その社員が居なくなればスキルが丸ごと失われてしまいますしね。

ちょっと前に、円筒や球のデッサンを「見て憶えろ」「習うより慣れろ」で莫大な時間を浪費して経験するのが良いんだというブログが「深い」といってバズっておりましたが、あれはコスト管理が不要なシチュエーションだから許されるお話。人を雇って人件費払いながら育成するのであれば、給料分稼げるところまでは最短期間で育成し、その後でアルチザンとしての成長が出来るような機会や場を用意するのが正しい経営と思いました。