こないだコンサル営業の仕事をしている教え子と話していて、彼女の会社で上司に好まれるのは大量のデータを定量分析して数字を見せて資料を作るタイプの人だということを聞きました。そんな場所で、そういうことが得意ではない自分はどうバリューを出していけばいいんですかねえという方向に、話は進んでいきました。
彼女は多変量解析の理解が若干あやしかったので、パンケーキが並んだカフェのテーブルでいきなりですが多変量解析の概念の基礎を即席講義(彼女と会うと3回のうち2回は講義になります)。独立変数と従属変数の違い、相関係数の概念、相関関係と因果関係の違いなどを説明した上で、あなたの最強の武器は何と言っても相手の警戒心を無効化して余計なことまで喋らせるコミュニケーション能力なので、クライアントを丹念に訪問して回るということを心がけると良いのではないですかとアドバイスしておきました。
統計や多変量解析は万能ではないですからね。例えばこれ。
「実は社会科学の領域でも、こういう説得の作業がいやだという人が増えてきているんです。そうすると、とても高度な定量分析をするんですよ。「これは○○分析をすれば統計的にこうなって……ほら!」って。
なかには、そもそも前提条件が違うんじゃない、という定量分析がたくさんあるのも事実です。でも、そのあやしい前提条件を用いて分析したらこうであった、という定量的な分析の結果は揺るがないので。それで査読誌に載ってしまうこともある。」
解析ソフトに入れる変数は、ヒドイ言い方をすれば何だって良いわけです。どんなデータを入れたってソフトは何かしらの数字を吐く。来年の南シナ海のシラスウナギの資源量を予測するのに古代マヤ文明の遺跡から出て来た土器のデータとマドリードのラーメン屋の1年間の来客データを入れたらもっともらしい数字吐いたってことだって無いとも限らない(ネエヨ)。だから、まず大事なのは因果関係を説明する仮説をきちんと立てることであり、クライアントからの丁寧な聞き取り調査とその解釈は仮説構築に多いに役立ちます。
うむしかし彼女にはインタビューの技術は教えてなかったんだよな。次はその辺の講義になるんだろうか。