4月から大学院に入る人、特に就労経験を持たずに進学する人はリスクヘッジについて考えた方が良い。

昨日の学会報告の会場に行ったら、来月から某有名研究科の修士に行くことになっている立教の後輩(20年くらい後輩だ)が居りました。

フットワークが軽いというのは、特に大学院に進む人にはこれから益々大事になっていくと思います。リスクヘッジとして。

昔の院生は研究室と図書館とフィールドの間をモソモソと巡回して何となく追い詰められてきたら修士論文に着手するような具合でした。その中で運か実力か同分野内のコネのうち二つ以上がある人がアカデミックキャリアを繋げていけました。それが院生の生き方のほぼ全てでした。

※実力だけでは生き延びられないことに注意
※私はどれも持ちあわせてなかったw

(付言すると、コネ作りというのは勉強会や学会に足繁く顔を出して、年長者の地位を脅かさない使い勝手の良い若手というイメージを広げていくことで達成されます。今もだよ。)

とはいえ、こうした生き方は大学の常勤任期なし教員になれなかった時のリスクヘッジが全く存在しないので、院生の供給量と常勤ポストの空く速度のバランスが崩れて以降は、リスクに見合うボラティリティが存在しないわけですから、6連弾倉に5発の実弾を詰めたロシアンルーレットみたいな、つまり小学生レベルの確率計算が出来る人はやらないような生き方になってしまいました。

そんな状況下でなお修士に行こうとするならば、院生生活と平行してやっておかなければならないのは、いつでもアカデミアの外にピボットしてジョブチェンジして脱出出来るようなスキルと人脈の蓄積だと私は思っています。

具体的に言えばアカデミアの外の様々な大人とコンスタントに交流して、大人をイラッとさせないコミュニケーションのスキルを身につけておくこと。これを、まともな修士論文を書き上げることと並行して2年間で必ずやっておく。

考えてもみてください。同じ年に大学を出て就職した友人たちは、2年間毎日のように職場で上司や先輩と接しています。この間、院生と指導教員と大学の仲間としか会わない生活を送ってしまったら、2年後にはコミュニケーション面でかなり見劣りする若者となっているでしょう。

私は大学を出てから修士に入るまでの3年間、契約社員やバイトで働いた会社の経営者や上司、先輩に大変可愛がっていただきました。そこで身についた年長者とのコミュニケーション・スキルは、アカデミアの中では全く役に立ちませんでしたが(そういう世界なのよw)、アカデミアの外ではまさに生き延びるための命綱でした。

昨今、気の利いた先生ならば自分のところの修士に、上記のような経験も積ませてくれますけれども、そんな大学教員はまだまだ少数派だと思います。2年後に何のスキルも実績も人脈も積み上げられなかったダメな自分に出会わないために、4月から大学院に入る方々には、気をつけていただきたいポイントです。