若手の社会人がSNSをどのように使うべきか。
ちょっとしたきっかけがあったので、改めて考えてみました。
このテーマは以前に指導した学生が卒論で取り上げていたものでもあり、その時の結論として、SNSは本来なら親密さの程度が多様である様々な知人友人が1段階か2段階の荒っぽい区分けで繋がってしまうので、それをよしとしない者はSNSはあまり使わないというものが出て来ました。
これは確かにそうなんです。特に若手の場合は上司や先輩など自分の職業人生にダイレクトに強い影響を及ぼす人々と繋がることのデメリットも軽視出来ないので、上手くそのリスクを管理出来ない人、言い換えればネットリテラシーが高く無い人は、あまり使わない方が良いとも言えます。その極端な例としていわゆる「馬鹿ッター」がありますね。
では、若手社会人はごく親しい友人とだけ繋がるタイプのSNS(LINEなど)や、非言語コミュニケーションに特化したもの(インスタグラムなど)、ログが残らないもの(スナップチャットなど)、ツイッターの鍵アカウントなどをひっそりと使うのが正解なのでしょうか。
先に結論を書いてしまうと、無期限雇用されている給与所得者(いわゆる正社員や正規職員)ならば、それがほぼ鉄板の正解なんだと思います。旧財閥系企業で管理職をしているサークルの先輩が言い切りましたからね。
「だってソーシャルなんか使ったって何もメリット無いじゃん。」
炎上リスクはある一方で、自分の得になることなど見当たらないでしょ。止めといた方が良いよ。
これは一つの見識だと思います。受け止めたいです。
では100人居たら100人がSNSをそのように使うべきなのでしょうか? これについては答えはNOだと考えます。理由はこうです。
たしかに終身雇用が保証されている職場で、一般職なら一般職、総合職なら総合職で言われた仕事、配属された部署を黙って受け入れ、定年まで淡々と生きていくつもりならば、SNSリスクは負わない方が賢いでしょう。リスクに見合うリターンを出すには一定レベルのリテラシーが必要になりますから。しかしながらこれからの日本においては公務員も含めて、終身雇用が保証されている人というのはレアです。これは年齢が下がれば下がるほどそうです。とするならば、敢えてSNSリスクを受け入れた上でそれに見合うリターンを手に入れようとする生き方も検討に値するのではないか。
どちらに賭けるか、ですね。無難な方に行くか、リスクテイクしてみるか。
リスクテイクを考えても良いタイプの人というのは、いると思います。先ほども確認しましたが、40年後も潰れていないであろう巨大組織のメンバーシップすなわち無期限雇用の環境下に居ないのなら、リスクテイクしていくべきです。また、巨大組織のメンバーシップであっても、自分として明確にこういう仕事をしていきたいんだという思いがあるのなら、SNSリスクを取る選択肢を考えた方が良いでしょう。
ちょっとわかりづらかったですかね。
組織の中には人事総務経理開発などバックオフィスの仕事もあれば法務などミドルオフィスそして営業のようなフロントオフィスの仕事もありますね。更に巨大組織ともなると扱う商材も多種多様。その中で、自分はこの分野のこの仕事がとにかくやりたいのよという場合。
運を天に任せてそこに回されるのを待っているだけで良いんでしょうか?
我が愛する教え子たちに再度ご検討頂きたいのはそこなのです。あなたたちはそこに行く為に努力を続けてますか? 今現在自分がその分野その仕事に配属されていないとしても、会社の内外でそこに関わっている人々とお付き合いすることは可能ですよね。でも、今現在その分野のその仕事のプロである人たちと、その分野その仕事についてお話をするためには、下準備が必要ですよね。
その分野その仕事のプロの人たちの公開フィードを購読してみたり、コンスタントに情報収集してみたり、そうして集めた情報について自分なりに考えたことを発信してみたり。そうやって知識を蓄積し、イベントに足を運んで人脈を築き、いつかチャンスが巡ってきた時にそれを掴む準備を続けていく。
ちょっと想像してみてください。何かのイベントに参加して、誰かと名刺交換をする(巨大組織のロゴ入りの名刺はこの瞬間に絶大な威力を発揮します)。まずはその場で会話をします。相手はあなたの知識や経験や情熱を品定めします。面白そうだなと思ったら、家に帰って検索する。あなたのSNSアカウントが出る。タイムラインを見る。飲み会とスイーツとVサインしか出てこなかったら? そこで終了です。逆に、自分と興味関心を共有していることがわかるエントリーが並んでいたら、それは確実に記憶に残ります。既に何らかのアウトプットを開始しているようなら、機会があれば仕事をご一緒してみようかなと思ってもらえるかもしれません。こんなイベントがあるんで来ませんかとメッセンジャーで声がかかるかもしれません。これを人脈と呼びます。
行きたい場所には、そうやって近づいていくものなんですよ。
まずは情報収集の為に。次に情報発信の為に。そして自分に興味のある誰かに確実にコンタクトされる為に。
多くの若い社会人がSNSリスクを恐れてほとんどがうちわに閉じこもってしまっている今、ちょっとだけ勇気を持ってSNSを自分のキャリア構築のために使ってみるだけでも、かなり目立って見えるはずです。より自由な人生を手に入れる為に、もう一度そちらの選択肢について考えてみてはいかがでしょうか?