センセー、人脈って何ですかというストレートな質問に答えようとしてみる

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 最近、社会人となった教え子たちから今後について相談される案件が非常に多いのです。1件や2件ではないですし、年単位で音沙汰の無かった子たちからのものも幾つか。

 大学を出て就職して1年目を乗り切りどうにか仕事に慣れて、さて私はこのままここでこうしていて良いんでしょうか? そういう不安が閾値に達し始める時期なのかもしれませんね。ちなみに加藤ゼミ1期生は現在は社会人4年目。下働きも板についてきて、一方で社会人としての基礎訓練も終わっているので転職市場ではかなりバリューが上がっている頃合いです。

 そして興味深いことに、東証1部上場巨大企業総合職の辺りが一番ナヤンデル事例多いですね。その辺の子たちは各自野望もデカイけれど、組織がデカイから各自の持ち場は小さい。スキルアップしてる気がしない。このままでええのやろか。

 いやもちろん、「じゃあ転職する? こんな話あるけど?」と言うと、「いやまだ頑張ります」「今辞めたら逃げることになります」という頼もしい答えが返ってくるわけですが。そんな中で今日はちょっと面白い質問がありました。

「人脈ってなんですか?」

 ストレートですよね。何でそんな話になったのかというと、スキルアップのための転職という発想に対して、私の知人で戦略系コンサルティングファームにいらっしゃる方から、次のようなアドバイスがあったからです。

 曰く、基礎的なスキルは3年やれば身につきます。スキルのことしか考えていない人はその段階で転職を考え始める。しかし実際の仕事はスキルだけでは成し遂げられません。会社内外の人脈とビジネスパーソンとしての信用がものを言いますし、これは2年や3年では手に入りません。だから1社目か2社目のどちらかではじっくりと腰を据えて仕事をすべきでしょう。

 でも、人脈って何なのでしょうか?
 彼女らの名刺に刷り込まれた会社のロゴマークがあれば、一晩で50人くらいと名刺交換することなど簡単です(私には無理)。じゃあその名刺の束が人脈なの? おそらく違います。

 今日、質問をした子には、私はこう答えました。

「自分のことを心から信頼してくれる人が何人も居るというのが、人脈があるということだよ。5人で良いから、そういう人を作りなさい。そうすれば、その5人はいざという時には自分の知り合いにアタマを下げて、おまえに力を貸してもらえるように頼んでくれるだろうから。」

 つまり、何かあったときに直接の繋がりが薄くとも情報を回してもらえる、力を貸してもらえる、知恵を貸してもらえる、そういうネットワークのことを「人脈」と呼ぶのではないかと思うのです。何かあったときというのは、言い換えるならば、自分が通常発揮できる権力や経済力では間に合わない状況に陥ったときということですから、名刺に入っているロゴマークなどあまり意味がありません。そのロゴマークの神通力が届かないところを切り開くための力をもたらしてくれるのが、人脈です。

 では、そんなネットワークはどうやって手に入れれば良いのでしょうか? 

 私は二つの方法があると思います。

 一つは手抜きせずに仕事することです。自分以外の誰かのために知人にアタマを下げて助力を請うのであれば、その誰かが知人に不義理を働かないと確信出来なければいけません。普段からきちんと仕事をしていれば、この人は信用出来ると判断してもらえる可能性が上がります。

 もう一つは、誰かが困っている時に救いの手を差し伸べることです。恩を売るとか貸しを作るとか言いますが、別に1対1の貸し借りである必要は無いのです。この人は面倒見が良い人、義理堅い人だと周囲に認知してもらえれば、やはりいざという時に信用してもらえるでしょう。

 ある場所で5年7年と信用を積み上げておけば、やがて会社を動いたとしても「○○さんなら信用出来るから」というようにして、古巣の仲間たちや古巣の取引先の方々の力を借りることが出来るのではないかと思います。よしんば業界を変わったとしても、何かの拍子に古巣の人脈が生きるということはあるものです。

 以上、まともに組織に属したことが無いのでまともな人脈を持たないアラフォーの拙い考察でした。転職グセが付くと人生が安くなるので、1度は目指そう勤続10年。