B級臭の塊だった文系博士が何故まだ胸を張って生きていられるのかについて

業界内無双の果てに食い詰めて自殺してしまった文系博士の人生が話題です。
これだけやって研究職を得られないならどうしたら良いんだ、という声がいっぱい上がってます。
簡単ですよ。
転職したら良い。
ビジネスパーソンになれば良い。
そんだけ。シンプル。超シンプル。
私は彼女から見たらもうゴミ過ぎて存在している意味がわからないような研究人生でした。旧帝大の院は落ちて私大の大学院。しかも業界内では傍流もいいとこの立教大。死亡フラグです。旧帝大や東工大の院生たちからはめちゃくちゃバカにされてましたよ私。増田聡とか東谷護とは特に仲が悪かった(二人とも専任になれて良かったね!)。
科研費とか研究助成金はそれなりに当ててたし査読誌論文も幾つか書いたけど、傍流中の傍流な学際テーマで、その学際の反対側の分野の人たちにも、業界の暗黙の了解を片っ端から「これおかしいんじゃないですか」と批判するから嫌われた。死亡フラグ2本目。
(でも、当時書いた文章がいまだにこのブログで検索流入上位なんだから、本当はみんな口に出して言いたかったことなんだよ、あれ。)
非常勤講師で行っていた立教大でも、吉岡総長に名指しで「あいつを黙らせろ」と教授会で言われたらしい。死亡フラグ3本目。
よく生きてるよねこれで。でも修士の時に借りた育英会1種奨学金は今年9月で完済なんだぜ。ここまで来たよ。胸を張れるよ。院試の時にも色々とアドバイスした立教での教え子が東大の博士課程にまでこの春に進んだよ。胸、張れるんじゃないのこれ。
では何故、私は生きてられたのか。
1:素晴らしい女性と愛のある結婚をした
これ大きいですね。私、研究者としてはアレでしたが女性にはモテましたから、研究を続けるために無理やり愛のない結婚をするみたいな意味不明なことをする必要は無かった。女性にモテるために使っていた時間を研究に使っていたら危なかったよ。
2:妻が優秀なプロフェッショナルとして大成した
とにかく妻のキャリア最優先で生きてきました。その結果、妻は日本でも100人居ないだろうという、特定分野でのトッププロになりました。結果論ですが人生のリソースの投資配分という意味では正しかった。今でも自分の存在する意味は妻の人生を輝かせるためにあるという信念に揺るぎなし。
3:アカポスにさっさと見切りを付けてビジネスの世界に軸足を移した
死亡フラグ3本のアカデミックキャリアなので、そこからの撤退に迷いもためらいも無かったですね。研究人生をサンクコストにしないように、そこで得た学びやスキルもフル活用しました。音楽社会学だって工夫次第でビジネスに活かせるもんですよ。ビジネスパーソンの友人もいっぱい作りました。研究者には嫌われる私ですが、ビジネスパーソンの皆さんにはかなり愛されます。
4:学歴ヒエラルキー信仰とは無縁だった
高校の同期に旧帝大や医大に行った奴らは山程居たので、受験競争のトップクラスとはどういう人たちなのか、よく知っていた。ある部分では凄いけど、人としてトータルで見ればそこまで怖れるほど圧倒的な存在ではないということ。その裏返しとして、学歴ヒエラルキーでは下の方の人たち、例えば高卒の人なんかへの優越感も無かった。自分にビジネスのイロハを教えてくれた先輩は高卒だったし、今現在の最重要取引先にも高卒の方いらっしゃいます。人は学歴じゃないですよ。
5:失敗を恐れなかった
ビジネスに転身して失敗もそれなりにしましたが、そういうのも全部学びに変えて来ました。もともとアカデミックの落ちこぼれ。ビジネスだって最底辺から這い上がるだけだという割り切りがある。プライドなんか無いですから。1本売って利益2円みたいなものを開発からサプライチェーン構築までゼロイチでやって何万本というロットを揃えて納品出来るまで全部やった。これ、トップジャーナルに査読論文載せるのと同じかそれ以上に難しいですよ。東証一部上場の企業との取り引きも徒手空拳から開拓したし。これもトップジャーナルに以下同文。学振SPDを当てるよりレアな、あそこの仕事を日本の会社が取るなんて奇跡だと言われるような案件も引き当てたこともあります。
昨日はまたB2Bで最近、外国の超大手にロボットをドカスカ納品している某社から連絡があって、新規事業立ち上げの中に私がやってる事業を組み込めないかの相談をしてきました。
とはいえね、こういう商談も打率はせいぜい1割。もっと低いかもしれない。凡退。凡退。凡退。凡退。また凡退。さらに凡退。凡退。永遠にもう仕事なんか取れないんじゃないかって気になってくる。でも、打席に立ち続けるしかないんです。打席に立てているだけで勝ちだと思ってやってます。凡退が当たり前。またバットを拾い上げて打席に向かう。それだけです。
6:適切なペイ・フォワード
考えてみると、人生が停滞したときに助けてくれた人たちって、それ以前に自分がペイ・フォワードしておいた御縁が回り回って、なんですよ。ものの見事に。全てが。10年前にやっておいたものごっついボランティアの御縁が戻ってきて仕事になったとか、こっちは5年前に頑張って無償サポートしておいた件を見ていてくれた人が突然大きな案件を発注してくれたとか。
もちろん他人を利用するだけ利用して用済みになったら放り出すような連中と関わり合いになったこともあるけど、そういう関わりの中でも全力でやっていたことを見ていてくれた誰かが、何年後かに仕事を持ってきてくれる。ほんとそんなのばかりです。
私の知る範囲では、研究者や院生って自分と自分の趣味と自分のキャリアと自分の研究と酒にしか興味が無いような人がとても多いですが、私はあちこちで必要以上にペイ・フォワードしてきたのが結果的にセーフティネットになっていたと思ってます。
7:特撮を見ていた
太宰治とか村上春樹とか嫌いなんです。純文学は基本的に嫌い。ダメ人間がダメな選択肢を選び続けた結果として予定通りダメな人生を手に入れるみたいな話ばっかじゃないですか。そんなもん読んでたらダメ人生になっちゃうじゃないですか。
それよりお前ら特撮見るべき。ウルトラマン! 仮面ライダー!! 小芝風花可愛い

言い訳みたいな「でも」「だって」「だけど」
吐き捨てた道は行き止まり
Right Time 出口はすぐそこに

Shift Up, Goin' High
追い越されてばかり 飽きるでしょ? 突き抜けろ Winding Road

Surprise 今 時代が Drive! (It's faster than ever)
Feelin' high 声 聞こえる (Drivin' Show me)
止まりかけた心 (keep chasin' forever)
トップギア回せ All we need is “DRIVE”
(仮面ライダードライブ主題歌「Surprise Drive」より。作詞:藤林聖子)

アニメも良いぞ。特に子供向けのやつが超お勧め。ドラえもん!!! ポケモン!!!! 前向きになれるぞ。まずは一緒に歌おう。

見たことない やったことないを恐れないで
さあフューチャーヒーロー 走るんだ 追い風を受けて
その夢は いつまでも忘れないで
さあリュックサックは準備OK 行かなくちゃ
誰にも描けない キミの冒険だ 一歩踏み出そう
(ポケットモンスターサンアンドムーン主題歌「君の冒険」より。作詞作曲:岡崎体育)

心の中 いつもいつもえがいてる(えがいてる)
夢をのせた自分だけの世界地図(タケコプター)

空を飛んで時間を越えて 遠い国でも
ドアをあけてほら行きたいよ 今すぐ(どこでもドアー)

大人になったら忘れちゃうのかな?
そんな時には思い出してみよう
(ドラえもん主題歌「夢をかなえてドラえもん」より。作詞作曲:黒須克彦)

以上、文系博士さんで人生詰んだとか思い込んでいる人の参考までに。
ほんと、自殺するくらいならメールください。相談に乗るから。
仕事だって多分ご案内出来る。
俺たちと一緒に這い上がろうぜ。勝負はこれからだ。