ドーピング初心者

 大相撲の某力士の大麻疑惑。マスコミの報道は相変わらず目を覆いたくなるような低いレベルを維持しています。

 特にこの毎日新聞の記事。上鵜瀬浄という記者は、ドーピング検査の基本をご存じ無いようです。

| 毎日新聞

 私の知る限り、ドーピング検査では同時に二つの検体を採取します。A検体とB検体です。最初に検査されるのはA検体です。もちろん簡易キットなどではなく、WADA(ゲシュタポ並みの非情さで知られる世界反ドーピング委員会)認定の検査機関でのチェックです。

 ここで陽性となった場合、A検体の検査を行ったのとは別の機関でB検体の検査が行われます。B検体の開封に際しては、選手本人あるいは選手の代理人が立ち会い、検体がスリ替えられていたり、検体が事前に開封され(て一服盛られ)ていないかを確認する権利が認められています。

 事前に競技団体との間で別に取り決めが無い場合は、B検体の検査の結果が出るまで、その選手にドーピング疑惑がかけられていることは公表されませんし、クロ扱いもされません。

 さて今回の一件。検体が幾つ採取されたのかは知りませんが、複数の異なる検査機関での検査は選手に認められている権利ですから、一回目の精密検査で陽性だったからといってそこで即処分せよという上鵜瀬浄・内舘牧子の意見は、ドーピング検査に関する知識不足を露呈しているように思います。この点では北の湖理事長の考えの方が正論に近いでしょう。

 以上からわかるのは、日本相撲協会もマスコミも、そして毎度お馴染みの相撲脚本家も、ドーピングについて極めて初心であるということです。ツール・ド・フランス並みに厳しくやれとは言いませんが(あれは異常)、もう少し色々と勉強して、もっとスマートにやっていただきたいなと思います。