おいらも研究者デビューか?

 バカみたいに文献を買いあさっているわりに、自分で論文を書くわけでもない、要するに趣味の男だった私ですが(でも翻訳作業には非常に役に立ちましたけどね。秋に出る訳本は最新の研究成果や私自身の聞き取り調査をもとにした極めて充実した訳注が加わっているので、原著を読んだ人でも手に取る価値がある一冊に仕上がったと思います)、ついに航海カヌーの世界に研究者としても関わることになりました。

 まだ詳しくは書けませんが、かつてミクロネシアの航海カヌーに深く関わった日本人(知られていないだけで結構沢山います)の一人の遺稿が発見されたんですよ。内容はもちろん航海カヌーについての話。昨日、ご遺族の方にお会いして、実際に手にとって見せていただくことが出来ました。私がご遺族の代理人として、某研究機関に民俗資料として遺稿を寄贈する手続きの仲介をしているのですが、遺稿の寄贈手続きが完了した後にその内容を私が調査して、(英語の)論文としてまとめるということで、話が進んでいます。あまり知られていないですが、日本には航海カヌーについてそれなりに多くの一次史料や研究論文があるんですね。日本語で書かれた。でも日本語で書かれていては、外国の研究者はほとんど読めないんです。

 ですが、私が見た限り、あの内容は極めて重要なものを含んでおりますので、世界に向けて発信されることが望ましいという結論になりました。だから英語の論文にします。今抱えている仕事が終わってから取り組むので、形になるのは2年とか3年先という話ですけれどね。

 もちろん、遺稿は研究機関に収蔵後は誰でも(申請すれば)閲覧できますから、興味がおありでしたら、これを読まれているどなたでも実際に見に行くことが出来ますよ。ご遺族のみなさんも、とにかく広く知られて欲しいということなので、各種の手続きが完了したら資料の具体的な内容と収蔵した研究機関は改めてここで公表いたします。

 少しだけ書きますと、もう1ページ目から「satawal」とかいう単語が登場している、まさに航海カヌーどっぷりの遺稿です。