例によってTarzan誌連載中の内田正洋さんのプルワット旅行記です。今回はいよいよポゥの儀式のレポート。
ここで内田さんは、ポゥの儀式の前日にエリック・メッツガーさんから、ラプウィさんへの謝礼金を払うので一部を分担してくれるようもちかけられたが、ロコの友人が「その必要は無い」と言ったので自分たちは払わなかったという話を書いておられます。
この部分、あれっと思ったので私、エリックさんに問い合わせてみました。というのは、長年カロリン諸島に通い詰めて、あまつさえラモトレックでは航海カヌー建造への資金援助を続けておられるエリックさんが、ただの取材者のように扱われるのはいかにも奇妙だからです。エリックさんの説明は以下の通りでした。
まず、ポゥの儀式ではカヌーハウスの周囲に結界が張られる。この結界の外から儀式の写真やビデオを撮るのは自由だが、結界内での撮影は導師であるラプウィ師へ捧げ物をして、許可を得なければならない。そしてエリックさんは結界の中での取材をするので、当然ながらラプウィ師への謝礼金を払う必要がある。
ただし。
エリックさんはラモトレックに住んでおられた故ユルピイ師の義理の息子であり、故ユルピイ師はラプウィ師の長兄である。つまりエリックさんはラプウィ師の甥ということになる。であるから、儀式では形式的にエリックさんからラプウィ師に礼金を捧げることになったが、実はその礼金というのもラプウィ師から事前にエリックさんに渡されているものであって、実際にはエリックさんからラプウィ師にお金は渡っていない。
ということだそうです。