ファストファッションみたいな量産エンタメ小説は東映特撮に勝てない

そういえばリュウソウジャーの最後の変身とラスボス戦って、リュウソウレッドが死にかけて地面に倒れている状態でやってたんすよ。

戦隊もので最後の戦闘がレッド不在だったのは珍しいらしいです。初めてかもしれないと。

でもちゃんとレッドの場所を開けて5人で並んで、リュウソウブルーがレッドの剣を左手(本来レッドがいる場所)に持ってて、剣は6本揃ってるんですよね。

そして最後の名乗り。

「正義に仕える6本の剣! 騎士竜戦隊リュウソウジャー!」

上堀内佳寿也監督の演出はこの辺が異常に上手い。

(なお、この間、リュウソウレッドの意識はラスボスの内面に取り込まれております)

私はお約束のフォーマットの中で感動させるんだったら、小説は東映特撮ヒーローには何をやっても敵わないと思っていまして。

これは何でかというと、1年の初めに右も左も分からない素人の子たちが、突然現場に放り込まれるところから始まって、1年後には必ず卒業で、最後の変身シーンが待っているというサイクルがあり、そりゃあもう主役の子たちは1年間で爆発的にお芝居が上手くなっちゃってるんですよ。技術も気合いもチームワークも頂点に達したところで、これが最後という「変身!」が来る。

しかも一ノ瀬颯みたいなイケメンが。絶対感動するに決まっとる。現場にいる子たちも最後は泣きながら撮影しとるわけだし。

終了直前の撮影から「これで終わるぞ!これで終わるぞ!」とお互いに言い合っており、その時点から涙ぐんでいるキャストもいましたが(笑)
ついに終わった!という時には1年間の苦楽がこみ上げてみんなで涙を流しておりました。
オールアップにはすでに次のキラメイジャーの撮影に行っていたはずのスーツアクターの皆さんも駆けつけてくれました。

んなもん勝てるわけがないですよ、小説。

だから、手堅くテンプレベースでまとめたファストファッションみたいな国産エンタメ小説はもう、少なくとも読む方は良いかな、他のことに時間使いたいなあということを、尾碕真花ちゃんの最後の「豪剣の騎士、リュウソウピンク!」という名乗りを見返しながら、考えたのでした。